東京オートサロン2020が開幕した1月10日から6月30日まで行われるGRヤリスファーストエディションの先行予約開始から約3カ月が経過し、残り期間は約2カ月半になった。
GRヤリスはトヨタが次期WRCに投入するヤリスWRCのためのホモロゲーションを取得するためのコンペティションモデルで、272ps/37.7kgmをマークする1.6L、直3DOHCターボを搭載する。
駆動方式は新開発の4WDで、プロトタイプを試乗した段階で、かのラリーコンペティションのランエボ、インプレッサよりも速いと評判だ。
GRヤリスはまず、デビュー記念の限定モデルであるファーストエディションを2020年6月30日まで先行受付し、その後はカタログモデルの販売に移行することになる。
現在GRヤリスの先行予約に大きな変化はないものの小さな動きは起きている。
その小さな動きを10万円の先行予約デポジットをクレジットカード払いした筆者が当事者目線でレポートする。
文:永田恵一/写真:TOYOTA、HONDA、平野学
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月1ペースで送られるメールマガジン

今のところ壁紙ダウンロードと3月に自分が先行予約したGRヤリスのグレード、予約番号などが表示される先行予約者専用サイトがオープンしたこと、後述する先行予約の利用規約が改訂されたことくらいしか変わった点はない。
またメールマガジンの中には先行予約者に対するアンケートもあり、その中には「GRヤリスを先行予約した理由は何ですか?」という項目があった。
いくつかチェックする回答があったが、筆者はすべて無視して自由回答欄に、「欲しかったから先行予約した」と書いた。
これはふざけているのではなく、「実用車ではない必要性のまったくないこの種の買うというのはこういうことだ」という筆者の本心である。

展示会の実施
すでに終了しているが3月から4月1日にかけて、全国8カ所(うち東京が2回)で大阪オートメッセに出展されたエモーショナルレッド2を纏ったGRヤリスを置く展示会が行われた。
新型コロナウイルスの影響もあり説明員やクルマへの乗り込みもなしという形になったが、「WRCのホモローゲンション取得もありGRヤリスを売りたい!」という意気込みは感じられた。

GRヤリスWebの更新
GRヤリスWebの更新は2点あるので、個別に見ていこう。
(1)ラゲッジスペースに関する紹介の追加
GRヤリスのラゲッジスペースはリアシートが6:4の分割可倒式。
4人乗りなのだから5:5のほうがいいようにも感じるが、これはあまり関係のない部分は通常のヤリスと共用化してそれこそ「頑張れば買える価格」に抑えるためもあるのだろう。

リアシートを倒せば自車のタイヤ4本がリアシート部分に載る、タイヤを外した27インチの自転車が載るといったことが記載されるようになった。
それはけっこうなのだが、ラゲッジスペース自体の容量は『141L』と記載されている。これには???
スポーツカーのラゲッジスペースでもマツダロードスターが130L、トヨタ86も243Lとのことで、こんなに容量が小さいとは思えない。

ノーマルヤリスのガソリンモデルのラゲッジ容量が270Lで、GRヤリスのラゲッジスペースを写真や動画で見ると筆者は「241Lの間違いではないか」と思っている。
もちろんアップの際には何人もの人が確認するであろうトヨタのWebだけに間違っているとも考えにくいが、筆者は「ホントかよ?」と今も疑問を持っている。
(2)販売に関するQ&Aの追加
こちらは知りたかった情報がいくつかある。
・先行予約後のグレード変更が可能になった
筆者は先行予約の際に「それは不可能だろう」と想定しており、もちろんしなかったが「RZとRZハイパフォーマンスそれぞれを予約し、1台のキャンセル時の返金手数料5000円は掛かってもいいから、グレードは後でゆっくり考えるか」とも考えていた。
まあゆっくり考えられるようになったのはいいことだ。

同時に「また先行予約対象グレードからベースグレードへの変更の場合先行予約はキャンセル扱いとなります。そのため、デポジットの返金額が9万5000円となり、納期も後ろずれいたします」という記載がある。
これで公然の秘密だった競技ベースグレードの存在も明らかになった。

・業販も含んだ法人の予約、複数予約も可能に
これは「モータースポーツショップなどが先行予約しやすくなる」という前向きな解釈に加え、「意外と予約が伸び悩んでいるのか?」という解釈もあるかもしれない。
・カタログは9月ごろ販売店に到着
これは早い人は7月から商談開始というのを考えると、7月には仕様や価格はわかるにせよなかなか凄い話だ。
早くもディーラーからのアポイントがあった
購入ディーラーに関するアポイントは、「商談が7月から始まるというのだから早くて5月終わりくらいだろうか」と思っていたところ、なんと3月末にディーラーからスマホに着信があった。
この時は電話に出なかったのだが、そのディーラーは住まい最寄りの通常のトヨタディーラーだった。

GRヤリスの先行予約の際、確かにディーラーは○○トヨタのような販売会社までしか選択できず、筆者はGRガレージがどんなものかを試す意味も含めGRガレージで買いたく、GRガレージがある販売会社を選んだが、こうなった。
後日ディーラーに出向いたところ多くは書かないが、このディーラーはGRヤリスについてよくわかっていなかった(笑)。
それは予想どおりなところもあり、非常に感じの悪いことながら筆者の希望と「後からゴタゴタするよりは今ハッキリさせた方いいだろう」と判断し、その場で筆者が想定していたGRガレージに担当ディーラーを換えてもらった。
その足でGRガレージに向かったところ、特に新しい情報はなかったものの、この種のクルマを扱うのに相応しい楽しい商談、会話ができ、安心した(ちなみにこのGRガレージではけっこうな数のGRヤリスの予約を扱うという)。
なお筆者に初めのトヨタディーラーから電話があったのは、現在乗っている中古86がその販売会社の中古車部門で買ったものだったのと、その最寄りディーラーに整備入庫があったためだという。まあ確かに普通と言えば普通の流れでもある。

このあたりがトヨタという大メーカーのディーラーがGRヤリスのような非常に趣味性の高いクルマを扱う難しさなのだろう。
GRヤリスの担当ディーラーに関してはGRガレージを基本とするか、現実には都道府県によってはGRガレージがないところもあり全国的にそれはできないので、通常のトヨタディーラーの何店か1店にGR車に明るい人を置くといったことも必要に思う。
それ以前にディーラーに関してはユーザーごとのディーラーとの付き合いや筆者のようなGRガレージで買いたいという希望もあるのを考えると、「〇〇トヨタ販売会社の××店」までインターネットでの先行予約の際に選べるようにしてほしい。
しかしトヨタディーラーが日本に5000店あるのを考えればそこまで細かい記載をするのも現実的に無理な話なのもわかる。
ということを総合すると先行予約を管理する部署から先行予約者個別のアポイントが必要なのではないだろうか。現状では先行予約者、ディーラーともに余分な手間が起きているのではないだろうか。

まとめ
ディーラーの件など、先行予約段階のGRヤリスは若干の混乱を感じる。
まあ実用車のように必要性はまったくない完全に趣味のクルマなのに加え、新型コロナウイルスの影響による遅れも十分考えられることもあり、筆者は混乱も楽しみながら(笑)、自分のものになる日を待っているところだ。

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