2017年登場のマツダCX-8はマツダが翌2018年にミニバン市場から撤退したという社内事情もあり、大きなボディサイズも生かし3列目シートを持つ点をアピールした。
CX-8の3列目シートは後述するように十分使えるものだったこともあり、CX-8の登場以来3列シートSUVに対する注目が高まりはじめた。
そのため最近は「3列目シート車を買うならミニバンか3列目シートを持つSUVか?」と迷う人も増え始めており、当記事では日本車に7台ある3列目シートを持つSUVの3列目シートの実用性をチェックする。
文:永田恵一/写真:TOYOTA、LEXUS、NISSAN、HONDA、MITSUBISHI、MAZDA
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トヨタランドクルーザー&レクサスLX
ポイント:GXのみ5人乗り(ランクル)、5人乗り、8人乗りは同価格(LX)


日本車SUVの王様的存在となるランドクルーザーは廉価グレード以外、搭載されるV8エンジンの排気量をランドクルーザーの4.6Lから5.7Lに拡大するなどしてレクサス版としたレクサスLXは5人乗りと8人乗りの設定という形で3列目シート仕様を持つ。
同じものとなる2台の3列目はボディサイズが巨大なこともあり、特に1980mmという全幅を生かした広い室内幅が効いており、広さ自体は大人でも十分座れるものを備えている。
しかしクルマ自体がフロアの高い本格クロスカントリーSUVのため3列目の室内高が低いため体育座りのような着座姿勢になるのと爪先が2列目シート下に入れにくいため、長時間の乗車は厳しいのでこの点はチェックが必要だ。

トヨタランドクルーザープラド
ポイント:7人乗りは15万7300円高

ランドクルーザープラドは俗に200系と呼ばれる前述したランドクルーザーを基準にすれば、日本でも特に全長が約200mm短いぶん、使いやすいボディサイズとなる本格クロスカントリーSUVだ。
2人掛けで乗車定員7人となる3列シート仕様は全グレードに設定され、最上級のTZ-Gは3列シート仕様のみとなる。なお3列シート仕様は2列目シート仕様に対し、約16万円高い。
ランドクルーザープラドの3列目シートもボディサイズに違いによりランドクルーザーほどではないものの、大人でも十分座れる広さは確保されている。
しかし体育座りのような着座姿勢となるため、長時間の乗車は厳しいのもランドクルーザーと同じなのでこの点は確認しておきたい。

レクサスRX450hL
ポイント:6人乗り、7人乗りは同価格

レクサスRXは先々代までのハリアーのポジションに位置するFF乗用車ベースのプレミアムラージSUVだ。
2015年登場の2代目となる現行モデルは当初2列シート仕様のみだったが、CX-8とほぼ同時期の2017年12月にリアオーバーハングを110mm延長することで2人掛けシートを加えたRX450hLを追加。
RX450hLの2列目シートは3人掛けベンチシートと独立したキャプテンシートが2つ並ぶ仕様が選べ、それに伴い乗車定員も同価格で6人か7人となる。なおRX450hLと2列目シート仕様の同等のグレードとの価格差は40万円だ。

RX450hLの3列目シートは3列シートSUVのなかでも3列目シートへアクセスしにくいのに加え、横方向こそそれなりの広さがあるものの、足元は狭く、頭上も間近にリアウィンドウがあるなど、エマージェンシー的なものとなる。
そのためボディサイズを考えると使えない3列目シートと言わざるを得ず、40万円の差額には首を傾げてしまう。RX450hLを選ぶなら「エマージェンシー的な3列目シートと、全長が長い分で広いラゲッジスペースを買った」と考えるほうがいいだろう。

日産エクストレイル
ポイント:7人乗りはXi系のみの設定で7万3700円高

ミドルSUVのエクストレイルは2Lガソリンエンジンを搭載する20Xiだけに2列目シート仕様と、2人掛けの3列目シートが加わり乗車定員7人となる3列シート仕様が設定される。なお2列シート仕様と3列シート仕様の価格差は7万3700円だ。
エクストレイルの3列目シートは着座姿勢が体育座りのようなになるだけでなく、全方向に狭く子供用かエマージェンシー的な用途にしか使えない。
ただ価格差が比較的小さいので「年に何回か短距離で使えればいい」と割り切った考えをするなら、3列シート仕様を選ぶ意味もある。

ホンダCR-V
ポイント:7人乗りはガソリン車のみの設定で19万4700~22万7000円高

こちらもミドルSUVとなるCR-Vは、1.5Lガソリンターボで5人乗り2列シート仕様と7人乗り3列シート仕様が選べ、価格差は標準グレードで19万4700円、上級グレードで22万7000円だ。
CR-Vの3列目シートは室内高の高さのおかげで30分程度なら大人なら座れる広さが確保されており、まずまずの実用性を備える。
ただ20万円級の差額ほどの価値があるかは人によって判断が分かれそうだ。

三菱アウトランダー
ポイント:全モデル3列

プラグインハイブリッドのPHEVが主役となるミドルSUVのアウトランダーだが、FFは2L、NA、4WDが2.4L、NAとなるガソリン車はすべて7人乗りの3列シート仕様だ。
アウトランダーの3列シートは室内高の高さにより爪先が2列目シート下に入りやすく、頭上も十分とCR-Vと同等レベルのまずまず実用的に使えるものとなっている。
この点を魅力に感じるならアウトランダーのガソリン車は3列シートのミドルSUVの中では比較的価格も安いので、アリな選択かもしれない。

マツダCX-8
ポイント:全モデル3列で6人乗りと7人乗りは同価格

CX-8は冒頭に書いたようにミニバンの代替としての使用も想定した全グレード3列シート仕様となるラージSUVだ。
2人掛けとなる3列目シートは全グレード共通だが、2列目シートは特別仕様車のエクスクルーシブモード以外のグレードで、乗車定員7人の3人掛けベンチシート仕様と乗車定員6人のキャプテンシートが2つ並ぶ仕様が同価格で選べる。
またエクスクルーシブモードの2列目にはキャプテンシートの間にアームレストにもなるセンターコンソールが着く。
CX-8の3列目シートはアクセス性は上々、広さもトヨタシエンタやホンダフリードのようなコンパクトミニバンと同等レベルが確保されており、大人でも2時間程度の移動なら不満を感じない十二分な実用性を備える。
つまり3列目シートの使用頻度がそれなりにあっても荷物はともかくとして、問題ないということだ。
さらにCX-8はシート後方の空間が少ない軽自動車や3列シート車の3列目に座った際に心配な追突された際の衝突安全性に関しても、マツダ独自の80km/hでオフセット衝突されるという非常に厳しいものにも対応している。
CX-8の3列シートSUVにおけるSUVとミニバンそれぞれの性能のバランスは日本車ブッチ切りと断言できる。


まとめ
「3列シート車を選ぶ際にミニバンかSUVか」と迷った際の選び方は簡単で、サードシートの使用頻度が多いならミニバン、サードシートの使用頻度が比較的少ないならSUVの中から自分の使用目的を満たすものを選ぶのもいいというのが結論だ。
ただ2列目シート仕様と3列シート仕様があるSUVはその差額が安くないものもあるので、その点は差額と3列目シートに求めるものとを天秤に掛けて、納得できる選び方をしたい。
