今やあって当たり前の装備 オートマチックハイビームは万能なのか?

オートマチックハイビームの種類

 オートマチックハイビームは大きくわけると2つに分類することができる。

■単純にロービームとハイビームを切り替えるもの
 こちらは前述したカメラが付くクルマであれば、安価なハロゲンヘッドライトのクルマでも装着可能だ。

■アダプティプタイプ
 アダプティプタイプのオートマチックハイビームは、「視界確保のため少しでも積極的にハイビームを使いたい」というコンセプトを持つものだ。

 ハードウェアにはヘッドライト自体に、「LEDの三眼タイプ」などといったきめ細かいロービームとハイビームの切り替えができるものを使う(そのためコストは高い)。

新型ハリアーはプロジェクターLEDと3灯式LEDの2タイプのヘッドランプをラインナップし、どちらにもAHSは装備されている
新型ハリアーはプロジェクターLEDと3灯式LEDの2タイプのヘッドランプをラインナップし、どちらにもAHSは装備されている

 具体的な作動は「先行車がいる場合には中央はロービーム、左右の端はハイビーム」、「対向車がいる場合には右側はロービーム、左側はハイビーム」といった具合だ。

 名称はトヨタではアダプティプハイビームシステム(AHS)、マツダではアダプティプLEDヘッドライト(ALH)など、各社で異なる。

レクサスRXは2019年のマイナーチェンジでブレードスキャンAHSをオプション設定。優れた性能を考えると7万1500円はお値打ち価格
レクサスRXは2019年のマイナーチェンジでブレードスキャンAHSをオプション設定。優れた性能を考えると7万1500円はお値打ち価格

 アダプティプタイプのオートマチックハイビームをさらに発展させたものとしては、2019年にマイナーチェンジされたレクサスRXにオプション設定(7万1500円)されるブレードスキャンAHSがある。

 ブレードスキャンAHSは高速回転する2枚のブレードミラー(リフレクタ=反射板)にLEDの光を照射し、光の残像効果を用いて前方を照射する方式だ。

 RXの場合はブレードミラーの回転に合わせて12個のLEDの点消灯を制御しており、従来のアダプティプタイプのオートマチックハイビーム以上にきめ細かい積極的なハイビームの使用を可能としている。

レクサスRXのブレードスキャンAHSの作動イメージ。単純にロー/ハイの切り替えではなく、必要な部分と不要な部分でチョイスして照射
レクサスRXのブレードスキャンAHSの作動イメージ。単純にロー/ハイの切り替えではなく、必要な部分と不要な部分でチョイスして照射

オートマチックハイビームって万能なの?

 結論から書くと、自動ブレーキの性能がメーカーや車種によって大きな違いがあるのと同様に、オートマチックハイビームもその自動ブレーキのカメラが情報源になっているのもあり、「性能はクルマによって異なる」というのが実情だ。

 例えばつい最近暗い夜道で乗ったLEDライトで単純なオートマチックハイビームが付くクルマはロービームとハイビームが切り替わるタイミングに大きな不満はなかったが、「ロービームとハイビームが切り替わるタイミングとも遅い」というクルマもある。

写真上がロービーム、写真下がハイビーム。光量、光の拡散具合が大きく違うのは一目瞭然。照射距離はローが40m、ハイが100m
写真上がロービーム、写真下がハイビーム。光量、光の拡散具合が大きく違うのは一目瞭然。照射距離はローが40m、ハイが100m

 ただアダプティプタイプであれば切り替えがきめ細かいだけに、不満を感じることは少ないという傾向はある。

 また2019年にJAFが行ったテストでは、テストに使ったクルマの性能も考慮する必要もあるにせよ、対向車の有無によるロービームとハイビームの切り替えでは大きな問題はなかった。

 しかし対向バイクに対するロービームとハイビームが遅い、自転車と歩行者に対してはハイビームからロービームに切り替わらなかったという結果もある。

 さらにオートマチックハイビームは最低でも15km/h以上のスピード域でないと作動しないものでもあるので、この点を見ても万能とはいえないのがわかる。

オートマチックハイビームはハロゲンタイプ、3眼タイプLEDだろうが、ロー/ハイを自動切替するのは同じながら、クルマ、メーカーによって性能は大きく違う
オートマチックハイビームはハロゲンタイプ、3眼タイプLEDだろうが、ロー/ハイを自動切替するのは同じながら、クルマ、メーカーによって性能は大きく違う

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