ダイハツは新型のタフトによりトップを死守
では特に伸び悩むダイハツ車は何かといえば、まず2019年7月にフルモデルチェンジを行ったタントだ。コロナ禍の影響を受けたとはいえ、2020年1~7月の販売累計は前年同期に比べて22%少ない。
ムーヴ+ムーヴキャンバスも26%、ミライース+ミラトコットも30%減少して、主力車種のマイナスが目立つ。
そのいっぽうで新型車のダイハツタフトは2020年6月に5079台、7月に6300台を届け出したが、新型車だから2020年1~7月の累計台数には大きなプラス効果を与えていない。
また2020年7月(単月)の届け出台数を見ると、ダイハツは5万2835台、スズキは4万8754台だ。
ダイハツが多かったものの、台数の差は4081台にとどまり、仮にタフトの6300台がなければスズキよりも少なかった。
いっぽう、ライバルメーカーのスズキは、2019年12月にフルモデルチェンジを発表したハスラーが2020年1~7月に前年よりも37%多く売れた。
スペーシアは23%減り、ワゴンRも34%の減少だったが、ハスラーのプラスである程度は補えた。そのためにスズキのマイナスは18%で、ダイハツの22%よりも小さい。
そこでダイハツが販売不振に陥った理由を販売店に尋ねた。
「売れ行きが伸び悩んだとすれば、コロナ禍の影響が大きい。またタントは先代型が好調に売れて、新型に乗り替えるお客様がいまひとつ増えていない面もある。それから最近はロッキーやトールなどの小型車にも力を入れており、軽自動車の売れ行きが少し影響を受けている」。
軽自動車と1L以下の小型車の微妙な関係
ダイハツの小型/普通車の登録台数は多くないが、以前に比べると伸び率が高い。2020年1~7月で見ると、小型/普通車市場全体ではコロナ禍の影響もあって昨年に比べて20%減ったが、ダイハツの小型/普通車に限ると46%増えている。
2019年の1.5倍だ。2020年7月も、ロッキーがC-HRやフォレスターよりも多く登録された。今までのダイハツは軽自動車が中心で、小型車はトヨタに供給されるライズやルーミー&タンクがメインだったが、今は状況が変わった。
小型車に力を入れる理由も販売店に尋ねると、軽自動車規格の先行きがわかりにくいことを理由に挙げていた。からだ。軽自動車税が値上げされたいっぽう、1L以下の自家用車は値下げされたこともあり、今は1万4200円しか差が付かない。
そのため1Lエンジンを搭載するブーン、トール、ライズが売りやすくなったとも言う。
軽自動車規格に不安を感じるのはスズキも同様で、以前からスイフトやソリオに力を入れてきた。
軽自動車の販売台数はダイハツが多いが、2020年1~7月における小型/普通車の登録台数は、スズキが6万2549台でダイハツは3万5027台だ。
ロッキーなどが売れても、小型/普通車はスズキが強く、スバルの5万222台をも上回った。
そのために2020年1~7月における軽自動車+小型/普通車の総台数は、ダイハツが32万9100台で、スズキは35万2295台だ。
ダイハツは小型車を徐々に増やして、スズキに似た売れ方に変化してきた。その結果、軽自動車の売れ行きが下がり、スズキとの競争が激化した事情もある。
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