世界中の自動車メーカーが吸収、合併を繰り返し再編されている。同時に環境問題から多くの自動車メーカーが電動化に舵を切っている。
そんな世界の自動車産業において特異な存在なのが、少量生産のウルトラハイパースポーツカーメーカーではないだろうか。高効率化、グローバル化、電動化などどこ吹く風(一部は電動化に対応)、といった感じで、超ド級のウルトラハイパースポーツカーを生産・販売して存在感を放っている。
環境問題の深刻化から、これらウルトラハイパースポーツカーメーカーがいつまで存続できるのかはわからいが、現在存続できている理由、存在意義について考察していく。そして、具体的にスーパースポーツを紹介していく。
文:石川真禧照/写真:ASTON MARTIN、LAMBORGHINI、BUGATTI、PAGANI、KOENIGSEGG、SALEEN、NOBLE
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歴史のあるスポーツカーメーカーのクルマはお金があっても買えない
いまから20年近く前のことだった。海外のモーターショー会場で、ポルシェの販売部門の副社長と話しをしていたとき、ポルシェが時々少量生産の高額なスポーツカーを販売している理由を聞いてみた。そのとき彼はこう言い放った。
「世界中にポルシェファンの富豪は200人はいる。彼らはどんなに高価なポルシェでも買ってくれるからね」
ここ数年のアストンマーティンは、量産スポーツカーとは別に、ごく限られたファンのために少量生産、高額なスポーツカーを生産している。
例えばF1のレッドブルレーシングと開発した「ヴァルキリー」やザガードと共同生産のDBシリーズは数億円で販売された。ランボルギーニもハイブリッドスポーツの「シアン」を19台限定で販売した。
どれもがすでに完売という。
もし、あなたがこのコロナ禍で大金を手に入れ、こうしたクルマを購入しようと思ったとしよう。おそらく、いくらお金を積んでも手に入れることはできないかもしれない。
その理由は、歴史あるスポーツカーメーカーのクルマは、世界中のロイヤルコレクターと呼ばれている裕福なクルマ好きに優先的に販売されてしまうからだ。
この傾向は特に1990年代バブル期が終わってから強くなったように思う。
資金はあるのに欲しいクルマが手に入らない。それは多くの場合、ごく少数のクルマ好きのために作られたスーパースポーツだ。彼らの物欲を満たす新しいスーパースポーツを作る人たちが現れても不思議ではなかった。
今回、紹介するウルトラハイパースポーツカーメーカーの多くが1990年代に創業しているのは偶然ではないのだ。
そして、彼らが生き延びてこられているのも、こうしたウルトラハイパースポーツを購入したいという新世代スーパーリッチな人たちがいるからなのだ。
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