コロナ禍で注目度アップ クルマのオンライン販売は今後の主流となるのか?

ユーザーとの接点を増やすにはインターネットは好都合

 BMWの販売店は、オンラインストアをどのように受け止めているか。この点も尋ねた。

「オンラインストアは、BMWジャパンが実施しているサービスで、販売店とは直接関係ない。指定されたお客様に連絡を取って商談を進める。販売店側から見ると、お客様の紹介システムだ。しかし今のところオンラインストアで購入された話は聞いていない」

GRヤリスファーストエディションは2020年1月10日~6月30日までの間にWeb限定で先行予約を受け付けた。その後はディーラーで商談
GRヤリスファーストエディションは2020年1月10日~6月30日までの間にWeb限定で先行予約を受け付けた。その後はディーラーで商談

 日本車メーカーの調査によると、顧客がクルマを購入するまでに販売店に出向いた回数は、平均2.6回であった。訪問したメーカーの数は平均1.5社というデータもある。

 以前のクルマ購入では、販売店に出かけてカタログを集めたり試乗を行い、その後に商談を行って購入するパターンが多かった。

 それが今は予め車種やグレードを決めた上で、最終的に販売店に出かけて確認の試乗を行い、契約するユーザーが増えた。

1999年にマツダはデミオに1.5Web-tuned@DEMIOを200台限定で販売。インターネットが今ほど主流になっていない時代に画期的な販売だった
1999年にマツダはデミオに1.5Web-tuned@DEMIOを200台限定で販売。インターネットが今ほど主流になっていない時代に画期的な販売だった

 この背景にあるのがインターネットの普及だ。メーカーや販売会社のホームページ、ユーザーが個人的に発信するSNSなどの情報をベースに、購入する車種やグレードを絞り込む。購入の意思を固めてから行動するため、販売店の訪問回数も減った。

 そうなるとメーカーや輸入業者は、インターネットの利用を中心に、ユーザーとの接点を豊富に用意せねばならない。

 特に若年層の場合、インターネットで商品を購入する機会が多い。先のコメントにもあったとおり、クルマは高額商品でサイズも大きく、登録(軽自動車は届け出)制度があってリコールも実施される。

 カードで決済して、クルマが自宅に配達される買い方はできない。

オンラインは主役にはならなくても必要不可欠な存在

 つまりオンライン販売が主流になることはないが、少なくとも入口だけはインターネット上にも設けておく必要がある。

 購入作業の最初がインターネット検索になるユーザーも多く、この段階で作業をある程度進められないと、購入候補に入れてもらえないからだ。

三菱i-MiEVとミニキャブMiEVは『ジャパネットたかた』のテレビショッピングに登場。ただし、希望者はディーラーからの連絡を待って商談
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 また現時点で利用者が少なくても、今後は増えるかも知れない。その時に慌てても遅いため、今からオンラインストアを用意している。

 前述のとおりコロナ禍で他人との接触を避けたいユーザーから注目される可能性もある。こういった潜在的なニーズも考慮して、オンラインストアを設けた。

メルセデスベンツは全額決済もできる

 欧州車では、メルセデスベンツも2017年にオンラインストアを立ち上げた。メルセデスベンツの場合は、クレジットカードを使ってオンラインによる全額決済、契約締結も行える。

 それでも高価格車だから、クレジットカードの利用限度額を予め大幅に増やしておく必要があるだろう。

メルセデスベンツは完全にネット決済できるオンラインストアを展開中。最新のGLBも対象となっているが、対象車種は全16モデルと少ない(2020年8月時点)
メルセデスベンツは完全にネット決済できるオンラインストアを展開中。最新のGLBも対象となっているが、対象車種は全16モデルと少ない(2020年8月時点)

 メルセデスベンツのオンラインは面接しないことにこだわるため、車庫証明(自動車保管場所証明)の申請手続きも自分で行う。

 それまで使ってきた車両は、オンライン契約では購入商談と絡めてメルセデスベンツの販売会社に下取りさせることができない。自分で別途売却する。

 メルセデスベンツのオンラインストアは、販売会社にとって高効率だが、ユーザーとしては法定外諸費用を節約できる代わりに手間を要する。

 仮に車庫証明を取得するために所轄警察署に出向けば、時間を取られて、なおかつ感染リスクが高まる心配まで生じるかも知れない。

テスラはクルマ界の常識をいろいろ覆しているが、オンラインで全モデルが購入できる。別料金を払えば、自宅にも届けてくれる
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