名門車が続々消滅!! この1年で去っていったクルマたちの悲しき事情

レクサスGS(2012~2020年)

 現在レクサスの販売構成は、世界的に7割から8割がSUVとなっている。そのためGSをはじめとしたセダン系が持つ開発資源が潤沢ではないことが容易に想像できる。

 そのためレクサスのセダン系の開発には一層の「選択と集中」が求められ、フラッグシップのLSは2017年に11年ぶりにフルモデルチェンジされ、ミドルクラスのISは近々超ビッグマイナーチェンジを行う。

GSはファイナルモデルとなる特別仕様車のEternal Touringの発売をもって生産終了となる。日本で販売された先代に続き影が薄かった
GSはファイナルモデルとなる特別仕様車のEternal Touringの発売をもって生産終了となる。日本で販売された先代に続き影が薄かった

 残ったESとGSはカムリベースのFF車とよりプレミアムなFR車という違いは大きいが、ボディサイズなど表面的には確かに似たクルマだ。

 そうなると世界的に販売が振るわなかったGSを絶版とし、アメリカや中国などで好調なESを残し、2台をESに統合するというのは真っ当な動きではある。

 しかしプレミアムブランドというレクサスのポジションを考えると収益はともかく、ベンツEクラスやBMW5シリーズなどと真正面から戦うFR車としてGSを残してほしかったと感じるのも事実だ。

日産ティアナ(2013~2020年)

エクステリアは主だった特徴もなくよく言えばオーソドックスだが、積極的にティアナを選ぶ理由が希薄だったのが敗因
エクステリアは主だった特徴もなくよく言えばオーソドックスだが、積極的にティアナを選ぶ理由が希薄だったのが敗因

 ティアナはトヨタカムリやホンダアコードに相当する北米や中国での量販車だけに、北米と中国向けはフルモデルチェンジが行われているなど、広い目で見れば力の入ったクルマである。

 しかし、日本では日本車のこのクラスのセダンの需要が少ないこともあり、最後のティアナはやる気の薄く魅力を感じる部分がない、単に大きなセダンだった。

 さらに日産には価格はだいぶ違うが、同じ車格に伝統あるスカイラインもあり、これではティアナが絶版になるのは当然だ。むしろ最後のティアナが2014年からつい最近まで6年間も売っていたことのほうに驚く。

FFゆえに室内は広いが、ユーザーを驚かす質感の高いインテリアを目指し、実際に実現した初代のような気概も感じられない
FFゆえに室内は広いが、ユーザーを驚かす質感の高いインテリアを目指し、実際に実現した初代のような気概も感じられない

日産キューブ(2008~2019年)

 コンパクトハイトワゴンのキューブは、クルマ自体は全体的に普通だが、和みのようなものを感じさせるキャラクターは今でも得がたいものがある。

 キューブが絶版に追い込まれた理由は、ズバリ自動ブレーキが最後まで付かなかったからだ。

こんなオシャレなキューブも発売されたが、自動ブレーキが最後まで装着されなかったのが痛かった。ちなみにようやくマーチに装着された
こんなオシャレなキューブも発売されたが、自動ブレーキが最後まで装着されなかったのが痛かった。ちなみにようやくマーチに装着された

 これでは自動ブレーキが当たり前となったここ数年でキューブに興味を持ったユーザーが、自動ブレーキがない点だけでキューブを候補から落とすのも仕方ない。

 日産ではライトバンのNV150 ADにすら2016年から自動ブレーキが設定されていたのを考えると、何度か書いたように功労車だったこともあるキューブが長期間に渡ってほとんど何もしてもらえなかったのは本当に不憫だ。

ホンダジェイド(2015~2020年)

 ジェイドは2013年に中国で「ステーションワゴンを中心に3列シートも設定する」というプリウスαのようなコンセプトを持ち、比較的安価な価格で販売を開始した。

 ジェイドは日本にも2015年にストリームの後継車的な役割も兼ねた3列シートミニバンとして投入された。

中国マーケットでデビューから約2年遅れで、ストリームの後継モデルとして日本で販売を開始したジェイド。走りの質感の高さには定評があったが販売面で苦戦
中国マーケットでデビューから約2年遅れで、ストリームの後継モデルとして日本で販売を開始したジェイド。走りの質感の高さには定評があったが販売面で苦戦

 しかしこの時点でストリームのような乗用車的なミニバンの需要が減少していたのに加え、ジェイドの3列目はストリームに対し非常に狭く、ミニバンとしての実用性が低かった。

 さらに価格はハイブリッドとはいえ300万円級と内容に対し高く、これで売れる方が不思議だった。

 低迷を打破すべく2018年にマイナーチェンジが行われ、このときに中国仕様と同様のステーションワゴン的な2列シートを中心とし、価格も下げた。

 だが、ステーションワゴンの需要も減少傾向なのに加え、値下げしても割安感のある価格ではなかったのもあり、販売も大きくは増加しなかった。最近中国でも販売終了となったこともあり、日本でも姿を消した。

マイチェンで2列シート5人乗りのステーションワゴン的モデルを投入。これはストリームと同じ手法で、ワゴンの人気も高くなく販売に貢献しなかった
マイチェンで2列シート5人乗りのステーションワゴン的モデルを投入。これはストリームと同じ手法で、ワゴンの人気も高くなく販売に貢献しなかった

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