ダイハツシャレード(2代目)
販売期間:1983~1987年
1980年代はターボがもてはやされる時代だった。日本の税制は排気量によって区分されているから、排気量を変えることなく簡単にパワーとトルクを増やせるターボはエンジニアにとって魅力だったのである。
2代目シャレードは1983年1月に登場する。ストレート基調のボクシーなフォルムとなり、背も高くしたのでキャビンは広く快適だった。
注目のパワーユニットは2機種を設定する。ひとつは3気筒のガソリンエンジンだ。もうひとつは「Rock’nディーゼル」のキャッチフレーズで登場した世界最小のディーゼルである。
排気量993ccの3気筒ディーゼルで、弱点だった振動を打ち消すためにバランサーシャフトを組み込んだ。1984年夏にはディーゼルターボを投入し、さらに魅力を増した。ガソリンエンジンを凌ぐ50ps/9.3kgmのスペックで、低回転から力強いトルクを発生。
また、ガソリンターボも設定し、そのフラッグシップはイタリア製の名門パーツを組み込んだデ・トマソだ。それだけではない。ラリーベース車両として排気量を926ccに下げた926ターボも200台を限定発売している。パンチの効いた走りはラリー界でも評判となった。
日産マーチスーパーターボ(初代)
販売期間:1989~1991年(マーチRは1988年デビュー)
1981年10月に開催された東京モーターショーに「NX-018」の名で参考出品され、1982年10月に発売されたのがK10の型式を持つ初代マーチだ。
エントリーユーザー向けのリッターカーだが、シルエットフォーミュラ風のマーチをCMに使うなど、スポーティさを前面に押し出している。
エンジンはMA10型の型式で呼ばれる987ccの直列4気筒OHCだ。燃費スペシャルも用意されるなど、最初は実用性と経済性の高さを売りにしていた。
が、1985年2月のマイナーチェンジの時に3ドアモデルにターボ車を設定した。応答レスポンスに優れた小型ターボに加え、電子制御燃料噴射装置を採用し、85ps/12.0kgmを達成している。
そして1988年8月にラリーベース車両の「マーチR」を発売した。ボアを2mm詰めて排気量を930ccとしたMA09ER型エンジンに組み合わせるのは、ターボとスーパーチャージャーだ。
時代に先駆けたダブルチャージシステムで、低回転域の瞬発力が不足する弱点をスーパーチャージャーによってカバーした。
最高出力は110ps/6400rpm、最大トルクは13.3kgmを発生し、痛快な加速を披露する。トランスミッションはクロスレシオの5速MTが用意された。ビスカスLSDも標準装備されていたから身のこなしは軽やかだ。
ただし、パワーステアリングは省かれている。これに続いて1989年1月には快適性を高めたマーチスーパーターボを送り出した。こちらには5速MTに加え、3速ATが用意されている。
クラスを超えたダイナミックな走りを見せ、運転するのも面白かった。ラリーでもサーキットでも俊敏な走りを見せている。だが、メカニズムは複雑になり、フロントも重くなったから走りは荒削りだった。
また、生産コストもかさんだため、この革新的なメカを積んだボーイズレーサーは1代限りで姿を消している。
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