GRスーパースポーツは次世代の競走馬
この計画を推進するトヨタGAZOOレーシングによれば、市販車をレベルアップしてスポーツカーを作るのではなく、レースやラリーで培われたノウハウを制約のなかでいかに市販車に落とし込むかというクルマ作りを目指すとし、いよいよレーシングカーからスポーツカーをつくる挑戦が始まるのだという。それが、GRスーパースポーツだ。
トヨタが先に公開したeパレットが次世代の幌馬車とするなら、GRスーパースポーツは愛馬であり、次世代の競走馬であると例える。
豊田章男社長は、「自動車産業が大きな転換期を迎えるなか、次の100年もクルマを楽しくしていきたい」との思いを語っている。
そして、その両車両はともに電動車だと。電動化や情報通信が進化した時代でも、クルマが単一化しないことをトヨタは示そうとし、また願っているのだろう。
その楽しさの部分を、トヨタはル・マン24時間レースというプロフェッショナルな舞台と、GRスーパースポーツの市販による消費者との接点の両面で示そうとしている。
さらに、トヨタが23年の実績を積み上げてきたハイブリッドの価値の存続も、このGRスーパースポーツで示そうと考えているように見える。
CO2抑制からCO2ゼロへの転換
いっぽうで、ポルシェはタイカンによってスポーツカーもEVで成立する姿を示した。
市場では、米国カリフォルニア州をはじめ、英国やドイツ、フランスでも15~20年後にはエンジン車の販売を禁止する動きにある。排出ガスゼロが広範囲に求められるようになろうとしている。
トヨタが世に示したハイブリッドという価値は、CO2排出量の抑制という意味で大きく貢献し、いまや世界の自動車メーカーが、プラグインハイブリッドとマイルドハイブリッドを含め、ハイブリッド無しでは新車を販売できない状況となった。トヨタの貢献は大きい。
いっぽうで、これからの時代が求めるのは、CO2排出量の抑制ではなく、排出をゼロにする挑戦だ。そのことは、世界的な大規模自然災害によって一刻の猶予もならない事態となっている。
抑制からゼロへ。この道筋こそ、大手自動車メーカーが全力で挑戦し、消費者にその姿を見せるときである。
GRスーパースポーツがEVであるなら、しかもスポーツカーメーカーではない世界有数の大メーカーが行えば、その衝撃はより圧倒的であるはずなのだが。
【画像ギャラリー】東京オートサロン2021で市販モデルを公開!? トヨタ渾身のGRスーパースポーツはそのまんまレーシングカー
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