「力強さが明らかに増した」改良版SKYACTIV-Xの進化
そして目的の改良版「SPIRIT#1.1」に乗り込む。走り出しからよりスムーズで特に低速域から中速域でのトルク感が明らかに厚いフィーリング。その山盛り感は圧縮着火を行う5000回転付近まで続く。
ドライブモードをSPORTにすることで、ギアシフトをできるだけホールドするプログラムになるが、このときアクセルオン/オフでのレスポンス、特にOFF→ONにした時のメリハリが良くなっていて、コーナリングでのアクセルワークによるハンドリングにも好影響している。
サーキットコースよりも一般路ワインディングを模した周辺コースの方がより明確に感じることができ、特に上り坂での加速、そしてコーナリングでスッキリとしたよりストレスのない加速性能を発揮している。
6速MTモデルに乗り換えるとアップデートによる進化はより明確に感じられ、シフトアップ時のクラッチの繋がりが非常にスムーズ。
例えば1速→2速→3速といったエンジン回転差が大きくなる領域でのシフトアップで、エンジン回転落ちも素早くなりど真ん中ストライクのシフトアップが可能になった。
ダウンシフトのヒール&トゥもピタリと真芯でシフトできる。トルクデザイン全体が厚くなったことで、MTでの市街地走行では明らかにシフトの回数を減らすことができるだろう。
わざと意地悪して5速/700回転という超低速域からの加速を試みたのだが、24VのISG(マイルドハイブリッド)によるモーターアシストがしっかり補助するのでまったくギクシャクせず、トルクが厚くなった回転域に達し驚くほどスムーズに加速した。
今回の改良はソフトウェアのみ。主な変更はスーパーチャージャーの過給特性の変更とEGRのコントロール変更とのことだが、ソフトウェアのみでここまで差が出ることに驚かされる。SKYACTIV-Xのノリシロはまだまだあるということなのか。
注目の燃費性能と現ユーザーへの対応は?
ところで気になる燃費だが、今回その詳細についての言及はなかった。ただ、トルクアップ及び特性の変化によって燃費が改善されることは考えられるだろう。とはいえ言及がないことゆえに大きな期待はしない方が良いようだ。
今後はハードウェアのアップデート。例えば、ボルボが行っているようなスーパーチャージャーの電動化などにより駆動ロスを低減した燃費改善などが望まれるだろう。
またマイルドハイブリッドもアウディでは12V仕様を採用し始めていて、車体と共通の電圧にすることでインバーターの数を減らすトライなども考えられる。
SKYACTIV-Xの技術は冒頭にも記したようにCO2排出ゼロに向かうスパンにおける主要技術の一つになりうると考えられる。
現在、他メーカーではトヨタの1.8Lハイブリッド、スバルの新開発ボクサー、ホンダの1.5Lターボなど、それぞれ燃費改善を謳うライバルエンジンは存在するが、こと燃焼に関わる大きな技術革新はSKYACTIV-X以外に見受けられない。今後のアップデートにも注目してゆきたい。
なお、このアップデートはすでに販売されている既存のSKYACTIV-X搭載エンジンにも無償対応可能とのことなので、現ユーザーも楽しみに待っていただきたい。
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