かつては暑い夏場と寒い冬場で交換や使い分けるクルマの消耗部品もあった。しかし近年はほぼオールシーズンだったり、メンテナンスフリーだったりしてきている。
夏と冬で使い分けるその代表的なものがエンジンオイルだった。
今やオイルひとつで燃費がよくなったり、悪くなったりするほど重要度が増していることからも、季節によってオイルを変えたほうがいいのか? それとも変えなくていいのか?
現代において夏場と冬場でエンジンオイルを交換する意味があるのかを考察する。
文/永田恵一、写真/ベストカー編集部、ベストカーWeb編集部
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マルチグレードの登場がオイル事情を激変させた
結論から言うと、少なくとも平成以降のクルマでそのようにする意味や理由はない。というのも昭和50年代あたりまではエンジンオイルの技術が進んでいなかったため、エンジンオイルが対応する外気温の幅が狭かった。
そのためエンジンオイルの粘度(硬さ)の表示も今でいう高温側しかないないものも多く、VWの空冷ビートルを例にするとエンジンオイルは夏場が30、冬場は10か20と説明書に指定されていた。
しかし昭和60年代になるとエンジンオイルはマルチグレードと呼ばれる、5W30、10W30などと表示される低温から高温まで対応するものに進化した。
エンジンの始動性などに大きく関係する低温側の数字は15でもマイナス15℃、10/マイナス20℃、5/マイナス25℃まで対応しており、寒さへの対応は少なくとも日本なら販売されているエンジンオイルの99%以上で問題なくなった。
なお、現行車ならほとんどのクルマが対応しており、燃費性能に優れる0と表示される低粘度オイルならマイナス35℃まで対応する。
いっぽう高温側のほうも低粘度の20でも40℃以上まで対応しており、問題ない。
そのためまとめると、説明書にシングルグレードのオイルが指定されている特に旧車の領域に入る空冷エンジン搭載車(ポルシェ911やVWビートル)のようなクルマ以外は、特に季節に関係なく、説明書に書いてあるグレードや粘度のエンジンオイルを使えばいいということになる。
しかし、現在シングルグレードのエンジンオイルはほとんど流通していないのもあり、現実的には旧車でも低温側が高めのマルチグレードのエンジンオイルを使うことになるだろう。
ただ、エンジンオイルの指定交換サイクルや使い方にもよるが、暑い夏場はエンジンオイルにとって厳しいので、エンジンオイルを季節によって使い分ける必要はないが、夏場が終わったらエンジンオイルを交換するというくらいはしてもいいかもしれない。
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