レクサスのニューモデルが相次ぎデビューした。乗り心地を改善し、運転支援システムをアップデートしたLS、マイナーチェンジの域を超えた進化を果たしたIS。それにレクサスはもちろん、トヨタとしても初めてとなる量産EVとして新登場したUX300e。3連発でレポートする。
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※本稿は2020年11月のものです
文/渡辺敏史、ベストカー編集部、写真/LEXUS
初出:『ベストカー』 2020年12月10日号
■レクサスLS 「アップデート」の狙いは2つある
(TEXT/渡辺敏史)
レクサスのフラッグシップサルーン、LSは2020年11月19日に初めてのビッグマイナーチェンジが施される。その狙いは大きく2つが挙げられる。
ひとつはADAS=先進運転支援システムの大幅な進化だ。「レクサスチームメイト」と名付けられたシステムはアドバンストドライブとアドバンストパークの2アイテムで構成。
アドバンストパークはヤリスから採用された最新世代の駐車支援機能にバイワイヤーのシフト制御も加え、ボタンひと押しで縦列・並列駐車の全工程を完了させる。
アドバンストドライブは自動車専用道路での追い越しや分岐進行などを含めたあらかたの行程でのハンズオフドライブを可能とする。
周辺環境の情報量を増やすべく車体には新たにLiDARスキャナを配し、連動する地図情報は飛躍的に高精細化されている。
レクサスチームメイトはドライバーの常時監視を前提としつつも、相当オートノマス的なところに近い運転体験を供するだろう。
ただし、アドバンストドライブについてはさらなる磨き込みを重ねており、導入時期は遅れる模様だ。
そしてもうひとつの狙いが、動的質感のさらなる改善だ。
50系LSはオーナードリブンを意識したスポーティな足回りの設定でライバルのドイツ勢も退ける勢いのハンドリング性能を得た一方で、乗り心地面では粗さが立つ場面もあり、LSを乗り継ぐユーザーの評価は割れてもいた。
そこで2018~2019年にかけては年次ごとにタイヤの縦バネレートやリアサスメンバーのマウントを緩め、可変ダンパーのオリフィスを変えるなどのリファインを加えてきたが、今回の刷新では初代10系の快適性を意識しつつ、骨格レベルから手が加えられた。
具体的にはタイヤの縦バネ特性のさらなる見直しと軽量化、さらにスタビライザーを変更し合わせ込むことでバネ下重量を軽減したほか、可変ダンパーも新たなソレノイドを採用し減衰特性を細かく再調整、バンプストッパーや液封エンジンマウントの特性変更など、その内容は多岐に及んでいる。
意匠や加飾面ではブレードスキャンAHSを使ったヘッドライト形状の変更が目立つが、内装には切子ガラス&プリーツに次いで、新たにプラチナ箔のオーナメントと西陣織のドアインナーを組み合わせた日本的なハンドクラフトトリムが用意されている。
そしてシートは表皮の縫い目を深くしてクッション材を低反発化するなど、着座感からも乗り心地の改善を試みた。
今回の試乗ではその乗り心地に注目してみたが、変貌は一目瞭然。
大きなうねりでの揺すられ感や目地段差を越えての硬質なインパクトは影を潜め、細かな舗装荒れの連続で感じられていたバネ下のバタつきもほぼ収まった。
舗装の質によってはランフラット起因のゴトゴトとしたノイズが僅かに入ってくるのは致し方ないが、路面アタリの柔らかさや上屋のフラット感からは伝統のLSライドの面影がしっかり窺える。
長きにわたりLSに親しむユーザーにこそ試してもらいたい、そんな進化を遂げたといえる。
■レクサスLS500h(FR)主要諸元
・全長×全幅×全高:5235×1900×1450mm
・ホイールベース:3125mm
・最小回転半径:5.6m
・車両重量:2200kg
・エンジン:V6、3456cc DOHC+モーター
・エンジン最高出力/最大トルク:299ps/36.3kgm
・モーター最高出力/最大トルク:180ps/30.6kgm
・WLTCモード燃費:13.6km/L
・トランスミッション:マルチステージハイブリッドトランスミッション
・駆動用バッテリー:リチウムイオン電池
・サスペンション(F/R):マルチリンク/マルチリンク
・タイヤサイズ:245/50R19
・価格:1351万円(F SPORT)
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