マツダのやり方にユーザーが慣れてきた!?
スカイアクティブXの納車が本格化したのは、前述のとおり2020年に入ってからなので、同じ年の11月にエンジンからサスペンションまで幅広く改良されると、すでに購入したユーザーの心境は複雑だろう。
「変更のタイミングが早すぎる」と感じることもあるのではないか。
マツダではSPCCI関連のソフトウェア変更について、すでに使われている車両のアップデートも検討しているようだが、サスペンションは無理だ。スカイアクティブXは、どの車両についても、走り関しては購入から1年以内に「旧型」になった。
スカイアクティブXは、発売から約1年で性能を高めたが、顧客の反応はどうか。また既に使われている車両のアップデートなど、いつ頃から開始するのか。
「スカイアクティブXは、ほとんど売れていないので、早々と改良しても不満の声はあまり聞かれません。ディーゼルやガソリンのお客様は、改良時期が早いね、といわれます。それでも今のマツダは頻繁に手を加えるので、このやり方に慣れてきたお客様も多いです。仕方ないね、という感じです」
ユーザーのニーズとマツダの販売戦略の乖離
2019年5月に発売されたディーゼルも、実用回転域の駆動力を向上させて、最高出力を従来の116馬力から130馬力に引き上げた。
このほか運転支援機能のステアリングアシストも変更を受け、従来の上限速度は時速55kmだったが、改良後は高速域まで引き上げた。2020年11月の改良は多岐にわたる。
マツダ3は以前から、時間をあけながらグレードを追加してきた。
2019年5月に1.5Lガソリンエンジンとクリーンディーゼルターボを発売した後、同年後半には2Lガソリン、12月には前述のスカイアクティブX、2020年3月には2Lガソリンの4WD、同年5月にはセダンにも1.5Lガソリンを追加した。
マツダ3の1.5Lガソリンエンジンでは、充実した安全装備を比較的求めやすい価格で得られる。
そこで発売当初から注目され、セダンの1.5Lエンジンを求めるユーザーも少なくなかった。
それなのにセダンに1.5Lがない理由を開発者に尋ねると、「従来型のアクセラでは、65~70%をハッチバックが占めていた。そのために現行型の1.5Lエンジンも、ハッチバック(ファストバック)のみに搭載している」と説明された。
1.5Lのセダンが欲しいのに、ハッチバックを購入したユーザーもいたわけだ。
それが発売から約1年でセダンにも1.5Lガソリンが追加されると、「もっと早く教えてくれればいいのに」、「マツダのクルマはいつ買えばいいのかわからない」という話にもなるだろう。
マツダは改良時期を固定すべき
このように今のマツダ車では、頻繁に改良を実施したり、なおかつ受注しながら燃費などのデータが未定になっていることも多い。購入時に疑問を感じるメーカーとなった。
今のマツダでは、ひとつの車種が新しいメカニズムや制御を採用すると、時間をあけず他車にも適用する。従ってCX-30のスカイアクティブXやディーゼルなども、近々同様の改良を実施するだろう。
このような開発姿勢は、エンジン、プラットフォーム、運転感覚などを大半の車種にわたって共通化した今のマツダの強みだ。
頻繁に改良を実施して、常に最良のマツダ車であり続ける。エンジンやプラットフォームの種類を限定した代わりに、密度の濃い開発を行えるわけだ。
多種多様の商品を揃えるトヨタとは違う、マツダならではの生き方でもあるだろう。常に最良のマツダ車を買えるのだから、ユーザーのメリットも大きい。
その努力(開発者は頻繁な改良を行うには大変な労力を要すると述べている)と、商品力を常に高く保てる効果を考えると、ユーザーから「いつ買えばいいのかわからない」と受け取られるのは残念な話だ。
ユーザーにとって最もわかりやすい方法は、マツダ車の改良をスケジュール化することだ。
マツダ3は3月、マツダ6は6月、マツダ2は12月…、という具合に時期を定める。その時期には、メカニズムの改良からボディカラーの追加まで内容はいろいろだが、何らかの手を加える。
そうなれば購入時に迷ったり、購入後に不愉快になることも避けられるだろう。
ちなみに昔の日本車は、4年ごとにフルモデルチェンジを行い、その間にマイナーチェンジを挟んでいた。この時代にも改良を頻繁に行ったが、スケジュールを決めていたから文句は出なかった。
コメント
コメントの使い方