■3段階の速度で高速走行時の燃費を計測!
このテストは「高速制限速度120km/h時代の燃費とスタビリティ」がテーマだったが、JARIの高速周回路を80km/h、100km/h、120km/hでそれぞれ周回、各速度での定地燃費を計測してみたものだ。
ここで驚いたのが、ノンハイブリッドのヤリス(1.5LのCVT)の燃費データが、80〜120km/hすべての速度で、ヤリスクロスHV、フィットHV、キックスe‐POWERを上回ったこと。これにはスタッフ一同ビックリだった。
ちなみに、「80km/h→100km/h→120km/h」と速度を上げてゆくと燃費がどのように変化したか、計測データは以下のとおり。
●ヤリス(29.0km/L→23.4km/L→16.4km/L)
●ヤリスクロスHV(25.2km/L→20.6km/L→16.2km/L)
●フィットHV(22.1km/L→17.7km/L→14.6km/L)
●キックスe‐POWER(16.1km/L→15.2km/L→13.7km/L)
加減速のない一定速度の走行では、ハイブリッドといえどエンジンの熱効率がほぼ燃費データに直結する。その原則がそのまんま結果に表れているのだ。
ハイブリッドはエンジン→電気のエネルギー変換があるから、高速域になるほどエネルギーロスが増えて不利。これは事前に予想できた。
しかし、本来ハイブリッドが得意と思っていた低速域でも、ヤリスの1.5Lがほかを大きく引き離すというのは意外。熱効率40%を超える最新鋭のエンジンを、優秀なCVTとの組み合わせによって高効率ゾーンで使うとすごい燃費が出る。それを再認識させられたわけだ。
■これまでもトヨタのハイブリッド車による市街地燃費は優秀
このテストから言えるのは、やっぱりハイブリッドは発進停止や加減速の多い一般路でこそ本来の持ち味を発揮するという事実。というか、そういう状況で使わないとハイブリッドは美味しくない。
過去のベストカー誌の燃費テストを調べてみると、一般路でコンスタントに優秀な成績を収めているのはやっぱりトヨタハイブリッド勢だ。
加減速の多い走行条件で、いかにエンジンを始動せず電気で走るか。勝負のカギとなるのは回生効率の高さとエネルギーマネジメントの巧みさだが、四半世紀にわたってハイブリッドシステムを熟成してきた蓄積は伊達じゃない。
ヤリスからクラウンクラスまで、軽く渋滞しているような市街地で20km/L以上の燃費は確実。ドライビングスタイルを問わず、誰が乗ってもそこそこレベルの燃費が期待できる点も素晴らしい。
ただ、かつてはトヨタ一強だった一般道のハイブリッド燃費にも最近は有力なコンペテイターが登場している。
■最近は日産とホンダのハイブリッド車の燃費も優秀
その筆頭は日産のe‐POWER勢だろう。ノートとセレナでヒットを飛ばし、キックスと新型ノートが加わってさらに戦力を強化。ワンペダルドライブを売り物に、日産ならではの個性的な走りをアピールして好評を博している。
このe‐POWERというハイブリッドシステムは、エンジンは発電専用で走りは常に電動モーターが担当する純粋なシリーズハイブリッド。メカはシンプルでいいのだが、高速域ではエネルギー効率がイマイチと考えられてきた。
しかし、いざ日産がノートで商品化してみると、市街地燃費は上々だし何よりドライバビリティが抜群。たしかに高速燃費の伸びはいまひとつだが、ユーザーの評価は「ぜんぜん問題ない」が大多数で、結果として大ヒットとなったわけだ。
もうひとつ、新型フィットでデビューしたホンダのe:HEVも一般道のドライバビリティが秀逸だ。
ホンダのe:HEVは以前i‐MMDと称していたシステムだが、e‐POWERと同様のシリーズハイブリッドに、エンジンでタイヤを直接駆動するためのクラッチを追加したもの。高速域ではエンジン駆動で走るため、ハイウェイクルージングでも好燃費が期待できる。
上記のとおり、フィットHVの燃費テストの数値はヤリスクロスHVとキックスe‐POWERの中間くらい。実用燃費もだいたい同じような序列と思って間違いない。
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