これまでもトヨタのハイブリッド車による市街地燃費は優秀
このテストから言えるのは、やっぱりハイブリッドは発進停止や加減速の多い一般路でこそ本来の持ち味を発揮するという事実。というか、そういう状況で使わないとハイブリッドは美味しくない。
過去のベストカー誌の燃費テストを調べてみると、一般路でコンスタントに優秀な成績を収めているのはやっぱりトヨタハイブリッド勢だ。
加減速の多い走行条件で、いかにエンジンを始動せず電気で走るか。勝負のカギとなるのは回生効率の高さとエネルギーマネジメントの巧みさだが、四半世紀にわたってハイブリッドシステムを熟成してきた蓄積は伊達じゃない。
ヤリスからクラウンクラスまで、軽く渋滞しているような市街地で20km/L以上の燃費は確実。ドライビングスタイルを問わず、誰が乗ってもそこそこレベルの燃費が期待できる点も素晴らしい。
ただ、かつてはトヨタ一強だった一般道のハイブリッド燃費にも最近は有力なコンペテイターが登場している。
最近は日産とホンダのハイブリッド車の燃費も優秀
その筆頭は日産のe‐POWER勢だろう。ノートとセレナでヒットを飛ばし、キックスと新型ノートが加わってさらに戦力を強化。ワンペダルドライブを売り物に、日産ならではの個性的な走りをアピールして好評を博している。
このe‐POWERというハイブリッドシステムは、エンジンは発電専用で走りは常に電動モーターが担当する純粋なシリーズハイブリッド。メカはシンプルでいいのだが、高速域ではエネルギー効率がイマイチと考えられてきた。
しかし、いざ日産がノートで商品化してみると、市街地燃費は上々だし何よりドライバビリティが抜群。たしかに高速燃費の伸びはいまひとつだが、ユーザーの評価は「ぜんぜん問題ない」が大多数で、結果として大ヒットとなったわけだ。
もうひとつ、新型フィットでデビューしたホンダのe:HEVも一般道のドライバビリティが秀逸だ。
ホンダのe:HEVは以前i‐MMDと称していたシステムだが、e‐POWERと同様のシリーズハイブリッドに、エンジンでタイヤを直接駆動するためのクラッチを追加したもの。高速域ではエンジン駆動で走るため、ハイウェイクルージングでも好燃費が期待できる。
上記のとおり、フィットHVの燃費テストの数値はヤリスクロスHVとキックスe‐POWERの中間くらい。実用燃費もだいたい同じような序列と思って間違いない。
遠乗りする人に最適なハイブリッドはセダン系
この、ヤリスHV、フィットHV、新型ノートe- POWERの3車種が「街中で使う人にいいHV」の御三家。デザイン、パッケージング、ドライバビリティも三車三様で、キャラがあんまり被っていないのもイイ。
対する「遠乗りする人にいいHV」は、セダン系から選ぶのがお薦めだと思う。
制限速度120km/h時代の高速クルージングでは、静粛性・乗り心地・スタビリティも高いレベルが求められる。そうなるとSUVやハッチバックよりセダンの方が有利。やっぱり長距離ドライブ時の疲労感がコンパクトカーとはだいぶ違う。
そのなかでは、ホンダのe:HEVを搭載したアコードの燃費性能の高さが光る。
120km/hレベルになるとパワートレーンも重要だが空力性能が燃費に与える影響が大。結果として、アコードとレクサスESがコンパクトカー勢より良好な燃費データを記録している点は要注目だ(120km/h巡行時の実測燃費は、アコードが16.5km/L、レクサスESが16.7km/L)。
高速を利用して長距離を走るケースが多いなら、こういうセダン系ハイブリッドのほうがお薦めといえる。
また、トヨタハイブリッドのなかでも縦置きエンジン系はちょっと別物で、2段変速リダクションギア付き(レクサスGS450hから)や、動力分割機構の後ろに4速ATを合体させたマルチステージハイブリッド(レクサスLCから)などは、かなりパフォーマンス志向に振ったハイブリッドシステム。
ロングドライブのみならずスポーツドライビングを好むユーザーなら、こういったパフォーマンス系HVも選択肢のひとつといえる。
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