マツダ&スバルの“強み”ゆえに出遅れた!? 両社が抱えるエンジンの課題

なぜマツダとスバルは“お家芸”で規制対応に出遅れたのか

世界初の圧縮着火エンジン「SKYACTIV-X」を実用化したマツダ。技術レベルは極めて高いものの、強化される燃費規制を考えると、さらに燃費の良い電動化ユニットが必要になってきている
世界初の圧縮着火エンジン「SKYACTIV-X」を実用化したマツダ。技術レベルは極めて高いものの、強化される燃費規制を考えると、さらに燃費の良い電動化ユニットが必要になってきている

 なぜそうなったのか? 予想を完全に外したからに他ならない。私はずっとマツダとスバルのパワーユニット関係者と燃費規制について対応策を問うてきた。

 マツダでいえばSKYACTIV搭載のCX-5が出るあたりから。スバルも2012年あたりからです。当時、次世代燃費規制が本決まりになり、ハイブリッドなしでは難しいことが明々白々だった。

 マツダのパワーユニット戦略を決めていたのは、エンジン技術の天才と呼ばれていた人見光夫氏。そして、スバルは技術研究所長であり技術のすべてを統括していた武藤直人氏だった。

 この2人に会うたび、ハイブリッドはやらないのか? 電気自動車はやらないのか? としつこく聞いてきた。答えは終始完全なる「やらない!」でした。

 そもそも人見氏は「エンジンのほうが電気自動車より総合的に考えたら二酸化炭素排出量は少ない」というポイントから1mmも動かない。SKYACTIV-Xが出たあたりでも同じでした。

 人見氏に「小規模なチームでいいから電気自動車をやらせないか?」と聞いたこともあったけれど、そんな余裕ないとバッサリ否定されました。

 武藤氏も同じ。人見氏と違い真正面から否定することはなかったけれど、穏やかな顔つきで「はいはい」と頷くのみ。

 いろんなルートから話を聞くと、武藤氏は新しいパワーユニット開発をいっさい許可しなかったという。新型レヴォーグに搭載されたハイブリッドやPHVにバージョンアップ可能な新世代エンジン開発も、武藤氏の引退後に本格化した。

 ということで、当時から現在までの流れをずっと追いかけてきた私からすれば、この2人が強いブレーキを踏んでいた2012年からの5~6年間で決定的に出遅れたんだと認識している。

 ちなみにスバルは武藤氏の引退後、すぐ「電動化やるぞ!」と大号令を掛けた人がいて、現在フル回転中。マツダはまだ失敗を認めておらず、中途半端な状況。

高い技術力をもつスバル&マツダのパワーユニット 今後はどうなる?

スバルは新型EVのコンセプトモデルを、2020年のスバル技術ミーティングで発表。トヨタとの共同開発を進める電動SUVだ
スバルは新型EVのコンセプトモデルを、2020年のスバル技術ミーティングで発表。トヨタとの共同開発を進める電動SUVだ

 今後どうなる? スバルについていえば、間もなくトヨタと共同開発しているCセグメントSUVの電気自動車が発表される(4月の上海ショーでトヨタ仕様を発表か?)。

 このクルマ、欧州のライバルとガチで勝負できる航続距離と価格競争力を持っていると言われる。トヨタとスバルのイメージをガラリと変える実力を持つらしい。

 電気自動車が出て販売台数伸びれば、企業平均燃費もググッと良くなる。しかもスバルのハイブリッドも出てくるようだ。

 スバルにハイパワー車がないという「谷間」は、2021年中には解消する可能性が出てきた。スバル、出遅れたものの挽回できるかもしれない。なにより今の研究所長の藤貫氏は慧眼の持ち主だ。期待していい。

2021年1月に発売されたマツダ初のピュアEV MX-30 EV。その評価は高いだけに、出遅れた電動化での巻き返しに期待充分だ
2021年1月に発売されたマツダ初のピュアEV MX-30 EV。その評価は高いだけに、出遅れた電動化での巻き返しに期待充分だ

 マツダは基本対応を変えておらず。そればかりか2022年に3L・6気筒エンジン搭載モデルを販売することを2020年末に正式決定した。

 CAFEに届かないぶんは、トヨタからヤリスやRAV4ハイブリッドのOEM供給を受けることで切り抜けようとしている。カーボンフリーカーに拍車が掛かっている世界情勢を考えたら「う~ん!」です。

 マツダ初の量産電池自動車MX-30 EVの素晴らしい仕上がり具合など考えると、マツダも電気自動車に舵を切るべきだと思う。マツダのポテンシャルなら世界TOPクラスの電気自動車を作れるだろう。

 ガンコな経営陣の意識が変わらない限り難しいかもしれません。マツダファンからすれば新しい分野で大暴れしてほしいと思うのだけれど。

【画像ギャラリー】日本未導入のスバル クロストレックPHVとマツダMX-30 EVをみる

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