2021年5月22日、富士スピードウェイで行われた「スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第3戦 NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース」。
今回ここで一際注目を集めたのが、水素エンジンを搭載したカローラスポーツを駆り参戦を果たしたトヨタGAZOOレーシング、およびルーキーレーシングだ。
結果は見事「完走」。しかし今回の結果だけでは未来は語れない。果たして水素エンジンの実用化は近いのか? 自動車評論家・国沢光宏氏に聞いた。
※本稿は2021年6月のものです
文/国沢光宏 写真/TOYOTA
初出/ベストカー2021年7月10日号
【画像ギャラリー】水素エンジンを積んだカローラスポーツ、およびレースの様子をギャラリーで詳報!
■水素エンジンと燃料電池の効率を比べてみる
モリゾウさんが水素エンジン車を搭載したカローラスポーツで24時間耐久レースに出場。みごと完走するや、メディアは水素エンジン祭りになっている。
グーグルで「水素エンジン」を検索すると、驚いたことにポジティブな記事ばっかり!
10本くらい読んでみたら「日本の強味は既存の技術を活かせる水素エンジンですね!」みたいな気分にさせられる。
果たして水素エンジンの実用化は近いのか? 達人向けに冷静かつ客観的な考察をしてみた。
まず水素エンジンと燃料電池の効率だが、今回のようにアクセル全開のサーキット走行をした場合、データ見るかぎり燃料電池と大差ない気がする。
同じ条件で比べたワケじゃないけれど、7kgほどの水素で50km程度走れている。
従来型MIRAIだと4kgほどの水素で50km走れます。
これだけ考えたら水素エンジンのほうが悪く感じるものの、エンジンは2分6秒くらい。燃料電池だと2分18秒くらい。2分6秒で走ろうとしたら、同じくらいの消費量になると思う。
一般車だとどうか? 新型MIRAIの燃費は水素1kgあたり120kmくらいだ。
水素エンジン車を考察してみよう。今回の24時間レース、前述のとおり満充填で50kmくらい走っている。
ガソリンエンジンだったら燃費3km/L弱といったあたり。すなわち7kgの水素でガソリンなら18L程度のエネルギー量です。
水素エンジンを25km/Lのハイブリッド車用のパワーユニットにすると航続距離450kmになるだろう。
加えて水素を7kg充填できるタンクを積もうとしたら大きなスペースを使ってしまう。
水素エンジンのカローラ、リアの居住スペースいっぱいに4本の水素タンクを搭載していた。
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