消えかけたカローラの命をつなぎとめたアクシオ
1969年から2001年まで、33年もの間、販売台数1位に輝き続けたカローラだったが、2002年に首位の座をホンダのフィットに明け渡すこととなる。
以降、プリウスやアクアの登場などで、カローラの販売は奮わなくなる。しかし、首位陥落をしたカローラは、海外に逃げず日本市場に軸足を残し続けた。
8代目で、国内と海外仕様のボディデザインを変えており、10代目で本格的に国内外仕様の切り離しをおこなっている。10代目の海外仕様は、全長を延伸、全幅が拡幅された3ナンバー車だ。対して国内では、アクシオというサブネームを付け5ナンバーセダンを残した。
ここに、他のクルマに代わられてなるものかという、カローラの意地を感じる。これまで生きてきた5ナンバーセダンとして、代替不可能な存在ということを忘れずに、時代の変革を受け入れながらも、自らのアイデンティティを残し続けた。
変わらないもの、そして代えられない価値が、10代目の国内仕様車アクシオには凝縮されていた。時代がミニバン、SUVに目を向けようとも、カローラの生き方は変わっていない。
アクシオは、消えかけたカローラの命をつなぎ止め、今も生き続けるきっかけを作った一台だと思う。登場から15年が経過する今でも、カローラの屋台骨を支える、重要なクルマとして存在し続けている。
カローラが今も日本で売れ続ける理由
2021年上半期の乗用車ブランド通称名別順位で、カローラシリーズは4位(5万3864台)だ。ハリアーよりも販売台数が多い。そして。直近の2021年7月の順位は3位で月販9242台という結果である。単月ではあるが、アルファードよりも上位にいるのだ。
大きさが変わり、デザインが変わり、メインターゲットも中高年から若年層へと変化したカローラだが、相変わらず幅広い世代から支持されている。カローラという名前を聞くだけで、「安心できる、なんだかホッとする」そんなクルマのイメージを、作り出しているのだろう。
カローラは55年の歳月の中で、ブランドを構築し、安心・安全、そして良質なクルマ作りを証明してきた。そして、歴史があるクルマだからと「カタブツ」にならず、変化を怖がらない姿勢が、カローラの人気を支える理由だと、筆者は考える。
トヨタの中で「冠(かんむり)」にまつわる車名が付くクルマは息が長い。クラウン(王冠)、カムリ(かんむりから由来)、そしてカローラ(花冠)が、現在も残る冠シリーズだ。
王冠よりも作りやすく、そして材料を変えれば、様々な大きさや色・形に変化する「花冠(カローラ)」は、時代やユーザーによって、柔軟に価値を変えながら親しまれてきた。
小さなころに作ったカローラ(花冠)は、大人になっても身近なクルマという形で、人々に満足感と喜びを与え続けている。今日も様々な場所で、個々のユーザーに合わせたカローラを、作り上げているのだろう。
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