マジか世界累計5000万台! カローラはなぜ今も売れ続けるのか

消えかけたカローラの命をつなぎとめたアクシオ

国内市場向けに発売された初代(通算10代目)カローラアクシオ。アクシオというサブネームをつけ5ナンバーセダンを残した(全長4410×全幅 1695×全高1460mm)
国内市場向けに発売された初代(通算10代目)カローラアクシオ。アクシオというサブネームをつけ5ナンバーセダンを残した(全長4410×全幅 1695×全高1460mm)

 1969年から2001年まで、33年もの間、販売台数1位に輝き続けたカローラだったが、2002年に首位の座をホンダのフィットに明け渡すこととなる。

 以降、プリウスやアクアの登場などで、カローラの販売は奮わなくなる。しかし、首位陥落をしたカローラは、海外に逃げず日本市場に軸足を残し続けた。

 8代目で、国内と海外仕様のボディデザインを変えており、10代目で本格的に国内外仕様の切り離しをおこなっている。10代目の海外仕様は、全長を延伸、全幅が拡幅された3ナンバー車だ。対して国内では、アクシオというサブネームを付け5ナンバーセダンを残した。

 ここに、他のクルマに代わられてなるものかという、カローラの意地を感じる。これまで生きてきた5ナンバーセダンとして、代替不可能な存在ということを忘れずに、時代の変革を受け入れながらも、自らのアイデンティティを残し続けた。

 変わらないもの、そして代えられない価値が、10代目の国内仕様車アクシオには凝縮されていた。時代がミニバン、SUVに目を向けようとも、カローラの生き方は変わっていない。

 アクシオは、消えかけたカローラの命をつなぎ止め、今も生き続けるきっかけを作った一台だと思う。登場から15年が経過する今でも、カローラの屋台骨を支える、重要なクルマとして存在し続けている。

カローラが今も日本で売れ続ける理由

車体サイズ、デザインが変わったカローラのメインターゲット層は中高年から若年層へと変化した。55年の歳月の中でブランドを構築し、変化を怖がらない姿勢がカローラの人気を支えてきた
車体サイズ、デザインが変わったカローラのメインターゲット層は中高年から若年層へと変化した。55年の歳月の中でブランドを構築し、変化を怖がらない姿勢がカローラの人気を支えてきた

 2021年上半期の乗用車ブランド通称名別順位で、カローラシリーズは4位(5万3864台)だ。ハリアーよりも販売台数が多い。そして。直近の2021年7月の順位は3位で月販9242台という結果である。単月ではあるが、アルファードよりも上位にいるのだ。

 大きさが変わり、デザインが変わり、メインターゲットも中高年から若年層へと変化したカローラだが、相変わらず幅広い世代から支持されている。カローラという名前を聞くだけで、「安心できる、なんだかホッとする」そんなクルマのイメージを、作り出しているのだろう。

 カローラは55年の歳月の中で、ブランドを構築し、安心・安全、そして良質なクルマ作りを証明してきた。そして、歴史があるクルマだからと「カタブツ」にならず、変化を怖がらない姿勢が、カローラの人気を支える理由だと、筆者は考える。

「冠(かんむり)」にまつわる車名がつくクラウン、カムリ、カローラの歴史は長い。「花冠(カローラ)」も時代によって柔軟に価値を変えながら、親しまれてきた
「冠(かんむり)」にまつわる車名がつくクラウン、カムリ、カローラの歴史は長い。「花冠(カローラ)」も時代によって柔軟に価値を変えながら、親しまれてきた

 トヨタの中で「冠(かんむり)」にまつわる車名が付くクルマは息が長い。クラウン(王冠)、カムリ(かんむりから由来)、そしてカローラ(花冠)が、現在も残る冠シリーズだ。

 王冠よりも作りやすく、そして材料を変えれば、様々な大きさや色・形に変化する「花冠(カローラ)」は、時代やユーザーによって、柔軟に価値を変えながら親しまれてきた。

 小さなころに作ったカローラ(花冠)は、大人になっても身近なクルマという形で、人々に満足感と喜びを与え続けている。今日も様々な場所で、個々のユーザーに合わせたカローラを、作り上げているのだろう。

【画像ギャラリー】トヨタ博物館に所蔵されている歴代カローラ(1966~1990) 写真25枚

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