社会のネット化が進んだ現代、中古車を購入する際に物件を直接見ない人の割合が増えているという。
たしかにネット上の写真で、ある程度外観や内装の状態は確認できるし、店とのやりとりもメールで済ますことができてしまう。そこにプラスして、新型コロナの影響で、さらに販売店側もリモートでの売却を推し進めているというのだ。
昔から中古車を買っていた人からすれば、販売店を訪れれば、実車をすみずみまで見られるし、試乗だってできるのに……などと考えてしまいがち。いったい良いのか、悪いのか───。
本稿では、実際に「リモート買い」をしたばかりの自動車評論家の清水草一が、自身の体験談とともに、リモート買いの是非、注意点について考えた。
文/清水草一 写真/清水草一、フォッケウルフ
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■意を決して「リモート買い」したのは31年落ちの軽トラ!
新車のみならず、中古車購入でも、実車を見ない「リモート買い」が増えているという。以前は「中古車を買う時は必ず実車を見て判断しましょう」というのがセオリーだったが、そのセオリーも新型コロナで木っ端微塵になった。「サラリーマンは出勤するのが当たり前」という前提が崩れたようなものである。
かく言う私は、これまで30台以上の中古車を買ってきたが、実車を見ないで買ったことは基本的になかった。購入車の内容だけ聞いて、ほとんどココロが決まっていたことは多々あるが、それでも実車は必ず見に行った。実際に見て、「ビビビ!」と来ることが購入の決め手になると信じていたからだ。恋愛のようなものですね。
が、そんな筆者が先日、生まれて初めてリモートで中古車を買った。車種は軽トラ。1990年式のダイハツ・ハイゼットトラックジャンボだ。検索の条件は、「なるべく安くて古いハイゼットトラックジャンボ」。ジャンボにこだわったのは、シートがリクライニングできるからだ。特に荷物を積む予定はないので、キャビンが長いぶん荷台がちょっと狭いことはまったく問題なかった。
当初は販売店に出向くつもりだったが、目当てのクルマのお店は「リモート契約なら5万円引き」とうたっていた。車両本体34万円だったので、5万円引きと言えば約15%もの値引きになる。これは無視できない。逆に言えば、「見てから決める」と言うだけで5万円かかることになるわけだし。
写真を見る限り、クルマはもう「これしかない!」という感じで「ビビビ!」ときていた。もともと首都圏にある中古のハイゼットトラックジャンボで、こんなに古いのはほかに1台もなかったし。
それに、31年落ちの軽トラを買うのだから、そんなに状態がいいわけがない。いろいろダメな部分があるのは織り込み済み。それらを直しながら乗ることが目的でもあったので、リモート購入という小さなリスク増加は、むしろ望むところだった。
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