2021年9月6日、11月11日~14日に開催予定だったWRCの日本ラウンド「ラリー・ジャパン」が中止となるとの発表があった。2021年はWEC、MotoGP、F1、鈴鹿8耐とモータースポーツの世界選手権中止の発表が相次ぐなか、ラリージャパンも中止となってしまった。
2010年の北海道以来のWRC日本開催。2021年は愛知県/岐阜県を中心としたエリアでの開催で準備が進められており、地元自治体からも大きな期待がかかっていた。
コロナ禍で致し方ないとはいえ、2021年も世界選手権の国内開催がなくなってしまったのはモータースポーツ好きとして、クルマ好きとして残念に思う人も多いだろう。かつてWRCに出走した国沢光宏さんに状況を解説してもらった。
文:国沢光宏/写真:Toyota GAZOO Racing
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■公道で実施するラリーだからこそ難しい調整
すでに中止となった鈴鹿のF1グランプリより1カ月遅い開催時期ということもあり、催行へ向け準備をすすめていたWRCジャパンだったけれど、残念ながら中止が発表された(編註:WRCラリージャパンの代替イベントはイタリアのモンツァで実施との情報もある)。
取材してみると先週末まで(2021年9月3日)開催に向け様々な準備をしていたらしい。地元の自治体も開催の方向で動いていたほど。どうして断念に至ったのか?
以下、紹介してみたい。自治体関係を取材すると、前述の通りずっと開催の方向。開催についての窓口になっているスポーツ庁も、前向きに動いてたようだ。ちなみにF1の開催断念を決定づけたのはスポーツ庁の協力が得られなかったためらしい。
というのもF1とWRCではバックボーンからして違う。F1の場合、基本的にサーキットで完結します。
つまりホンダ傘下の『モビリティランド』の主催で、開催場所も私有地。1企業の利益となるイベントという位置づけ。けれどWRCは自治体や警察などの協力無ければ開催出来ない。
逆に考えると、地域興しという意味合いを持ち、広域で準備をすすめてきた。スポーツ庁も8つの自治体からのニーズに応えようということらしい。そんなことから基本的に開催の方向で準備をしていたようだ。
一方、国内プロモーターとなっている『サンズ』は、7月から増え始めた新型コロナのデルタ株に強い危機感を持っていたという。確かに準備をすすめていながら感染増加のため国から中止を命じられたら、少なからぬ損害を受けることになってしまう。すでに2年分も空振りしている。
実際、愛知県の一部が8月8日から蔓延防止等重点措置になり、岐阜県も感染者増加という状況。そんな状況を見て準備を凍結したか? 8月中旬より日本からの情報が途絶えたようだ。
私がドイツでWRCに出場した際、親しくなった欧州の関係者曰く「8月中に日本向けコンテナを準備しなければならないと言われたのに、今では待つよう指示されてます」。
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