絶滅寸前からセレブの証に? 実は日本が「リアウイング王国」である理由!

■リアウイングを搭載する新車の今後は?

現行型シビックタイプRにはかなり大型で抑揚のついた動物的デザインのリアウイングが装着されている
現行型シビックタイプRにはかなり大型で抑揚のついた動物的デザインのリアウイングが装着されている

 ただし現在、スバル WRXとシビックタイプRが、モデルチェンジの端境期にある。スクープ写真によると、シビックRは確実にリアウイングあり。WRXには、標準では付かないようだが、恐らくオプションでは設定されるだろう。

 8月にアメリカで公開された新型フェアレディZには、リアウイングではなく、リップ型のリアスポイラーが装着されていたが、国内発売後は、NISMO製のリアウイングが登場する可能性はあると見る。

 スープラは、今のところオプションでも「GRトランクスポイラー」が最も派手で、リアウイングはナシ。

 ムキムキマッチョなボディスタイルには、先代80型スープラのようなリアウイングがいかにも似合いそうだが、北米トヨタは、GRスープラ・ヘリテイジエディションに大型リアウイングを取り入れている。今後日本でも設定される可能性があるのではないだろうか。

 ということで、今後4モデルにリアウイングがつく可能性があり、GT-Rを含めれば、瞬間的には合計8モデルになる……かもしれない。

 一方、輸入車はどうかというと、リアウイング装着モデルが非常に希少なことに驚かされる。

■マクラーレン セナ
■ランボルギーニ ウラカンSTO
■ロータス エヴォーラ/エキシージ/3-イレブン
■マスタング シェルビーGT500

■ポルシェ 718ケイマンGT4/911GT3

 典型的なでっかいリアウイングが付くのは、この8車種だけ。フェラーリには現在なし。かつてF40とF50は立派なリアウイングを備えていたが、近年はスペチアーレ(スペシャル限定モデル)のラ フェラーリにもリアウイングは付かなかった。

 あとはコルベット、カマロSS、アウディR8、アウディTT RSに、ボディからわずかに浮いた控え目なリアウイングがあるくらいだ。その他、超少量生産の超高級スーパーカーには存在するが、それらを除くと、海外にはわずか12車種しかない。

■世界と比べると日本は「リアウイング天国」?

 こうして国内外を比較してみると、減った減ったと言っても、国産車にはディーラーでリアウイングが装着してもらえるモデルが、かなり多いことがわかる。意外なことに、日本はリアウイング王国だったのだ! 

 日本人は、それだけリアウイングへの思い入れが深いのではないだろうか? 特に中高年世代のクルマ好きにとっては、「スーパーカーライト」と呼ばれたリトラクタブルヘッドライトと並んで、リアウングは憧れの装備のひとつ。「死ぬまでにリアウイング付きのクルマに乗りたい」と、密かな願望を抱いている者は少なくない。

 また、世間的な拒絶反応も、かつてに比べると劇的に減少している。初日の出暴走系のドレスアップ車はほとんど消滅し、「リアウイング=社会のメーワク」といった、ネガティブなイメージも消えた。昔を知っている女性は、いまだに「ゾクっぽい」「オタクっぽい」とリアウイングを嫌うが、彼女たちは今や50代より上である。

 若い世代は男女を問わず、かなりのクルマ好きでない限り、リアウイングそのものを知らない。知らなければネガティブなイメージを持つはずもない。

マリオ高野氏の愛車、新型BRZに装着されているのは「STIドライカーボンスポイラー」
マリオ高野氏の愛車、新型BRZに装着されているのは「STIドライカーボンスポイラー」

 ごく最近、STIのドライカーボン製スワンネックウイング付きのBRZを購入した自動車ライターのマリオ高野氏は、こう証言する。

「日頃から、プロ野球ファンの若い女子と交流する機会があるのですが、彼女たちは、私のBRZをひと目見るなり、『なんですかこれは?』と羽根(リアウイング)のことを尋ねます。

『これは、飛行機の翼を逆さまにした機能を持つものだ』と説明しますと、皆、心の底から驚愕します。クルマと飛行機が合体することが信じられないといった様子で、『スゴ~イ!』と絶賛されっぱなしであります!」

 思えば、3代目RX-7やR34GT-Rなど、リアウイングがついた国産ネオクラシックスポーツカーには超高値がついている。もはやリアウイング付きのクルマに乗ることは、暴走族どころか、セレブの証と言ってもいいのではないだろうか。

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