■そういえば気になる 篇
そういえば気になる系の疑問は、わざわざ調べるほどでもないが、そのままにしておくのもどこか気持ち悪い。そんなあなたに代わり、自動車評論家とベストカーが解決へがっちりコミット!
■なぜ複数メーカーの新車を取り扱う販売店がない?
回答:渡辺陽一郎
クルマには購入後のサービスが不可欠だ。車検や点検が必要で、メカニズムにはメーカーごとに独自性がある。また自社のユーザーを囲い込みたい思いもある。このような事情から、販売会社と販売店はメーカーごとに区分される。
ただしメーカー系列の販売店があまり出店していない地域には、複数のメーカーを扱う業販店やサブディーラーもある。修理工場や中古車販売店も併設され、クルマのすべてを任せられる。
新車の流通と販売の形態は昔と同じだから、今後、需要が減って国内販売網の維持が困難になると、複数メーカーを扱う店舗が増えるかもしれない。
■なぜ最近のクルマのタイヤは大きいの?
回答:永田恵一
最近のクルマは高性能を求められていることもあり昔に比べ大きく、重くなっていることもあり、コーナリングスピードを高める、クルマの重さを支えるためという理由でタイヤが大きく、太くなりつつあります。
またそれに伴いホイールも大きくなりつつありますが、大きなホイールにはブレーキが大きくできるのでブレーキ性能が向上する、タイヤが薄くなるので見た目がカッコよくなるといったメリットもあります。
■クルマはどのくらい水に浸かると走れなくなる?
回答:卜部敏治
冠水路で水しぶきをあげながら走るクルマが多い。早く抜け出したいという心理がスピードを上げる要因である。
だが危険である。速度を上げるとエアインテークからエンジン本体に雨水が侵入し、エンストを発生させる。
コンピュータボックスなど電装系に浸入しエンストを起こすこともある。スピードを上げると水中の浮遊物がラジエーターコアに衝突し、コアをつぶしてしまうこともある。水に囲まれているのにオーバーヒートという事態になりかねない。
乗用車はバンパー下端に水が触れるようである場合は進行を避け、Uターンすべきである。緊急事態でやむを得ず冠水路を走行する時には、焦りは禁物。水を押しのけるという気持ちでアクセルをコントロールすることが重要だ。
水流侵入抑制策としてフロントグリルにビニールシートあるいは広げた段ボール箱を張り付けるという方法もある。
エンストし、ドアの三分の一まで水に浸かると開閉が難しくなる。電動ウィンドウも開閉もできなくなる。対策として緊急脱出用ハンマーを運転席の傍に常備すべきだ。
クロカン4WDが渡河できる理由は、エアインテークがルーフの高さと同等となるシュノーケルを装着しているからだ。シュノーケル装着車はルーフまで水中に没してもエンジンは生きている。
問題はドライバーだ。ドライバーは呼吸できなくなり溺死する。エキゾーストパイプはエンジンが回転している限り、排気圧で水の逆流は防げる。ちなみにこのような芸当ができるのは燃料を圧縮爆発燃焼させるディーゼルエンジンが得意とするところ。
■クルマは1台生産するのにどのくらい時間がかかる?
回答:永田恵一
クルマは外板を作るプレス、ボディを組み立てる車体組立、色を塗る塗装、各部品を組み付ける組立、検査、出荷という工程を経て、1台のクルマができ上がります。
では1台のクルマができ上がるまでの時間がどのくらいかというと、一般的には17~18時間と言われています。ちなみにアメリカで手作業で生産されるNSXは1台作るのに約10日、GT-Rのエンジンの組み立ても手作業で2時間から2時間半かかるようだ。
■LPタクシーが天然ガスで走るのはなぜ?
回答:諸星陽一
最大の理由はガソリンに比べて燃料費が安いからだ。公表されている最新データだと、東京での掛け売り平均価格が76.4円/Lと、レギュラーガソリンの約半分だ。運輸業であるタクシーがコスト比率の高い燃料で安いものを選ぶのは当然のこと。
ただし高速道路上にはスタンドが1カ所しかないなどの理由で、一般車には普及しづらい。
■タクシーとバスの料金は法律で決まっているの?
回答:諸星陽一
タクシーやバスに関しては「道路運送法」という法律でさまざまなことが定められている。このなかには料金に関する法律もあり、なんでもかんでも自由に設定できるというものではなく、多くの場合は上限と下限の間の料金にしなくてはならない。
タクシー料金は複雑な計算方式で上下幅が決められ、さらには全国を98地区に区分した上で決定されるという複雑怪奇な方法が法律で定められている。
バスは路線だけではなく、貸切の場合も法律で料金の上下幅が定められており、時折見かける格安バスも、下限ギリギリの価格設定となる。
■救急車や消防車はどこのメーカーが作っているの?
回答:諸星陽一
救急車や消防車はベース車両を自動車メーカーが作り、架装メーカーが救急車や消防車としての機能を付け加えるのが通常の製造方法。日産系のオーテックジャパンやトヨタ系のトヨタテクノクラフトなども救急車の架装を行っている。
消防車についてはモリタという架装メーカーが有名。モリタはアジア最大の消防車工場を持ち、日本国内の消防車のうち半分以上を製造するという高いシェアを誇っている。
■レクサス車ってトヨタ車をベースに作られているの?
回答:諸星陽一
答えはイエスでもあり、ノーでもある。現在、通常ラインアップ車のプラットフォームはトヨタ車でも使われているし、エンジンも共通性がある。
しかし、かつてのLFAはプラットフォームもエンジンも専用設計であったのでLFAはトヨタ車がベースとは言えない。また、新技術はレクサスから先に採用されることも多く、トヨタ車をベースとしているのではなく、レクサス車をベースとする、という考え方も存在する。
■どうして日本車はDCTをあまり使わないの?
回答:諸星陽一
文化の違いとクルマの使われ方の違いが大きな原因。ヨーロッパでは、今でもマニュアル車が支持されているので、マニュアル車ベースの2ペダルであるDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)が支持される。日本では評価の低いシングルクラッチのロボタイズドATもそれなりに支持されている。
日本よりも渋滞が少なく、長距離移動が多いのが大きな理由と言われている。逆に日本で支持されているCVTはヨーロッパではほとんど支持されない傾向にある。
■トヨタのアルミテープはその後どうなった?
回答:編集部
ちょっと前に話題になったトヨタのアルミテープ。なんでもボディに貼ると帯電していた静電気を除去して空気の流れをスムーズにしてくれるという謳い文句だった。本誌でも数回紹介しているので覚えている読者も多いはず。
その後どうしたんだろうと思っていたら、なんと工場出荷のノア/ヴォクなどのバンパー裏なんかにしっかり装着されている。なるほど、その効果はホンモノだったんですね。
■ラダーフレーム車はなぜ減ったのか?
回答:諸星陽一
最も大きな理由はラダーフレームをやめてモノコック構造とすることで、重量を減らせるからだ。重量を減らせると、運動性能も向上し、燃費もよくなる……とはメーカーがよく言うが、最も大きな効果はコストダウンだ。
クルマも工業製品である以上、重量とコストはある程度比例する。フレーム式と同程度の性能をモノコック構造で得られれば、それはモノコックにしたほうが、コストが低いのは当然なのだ。
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