夏休みが終盤を迎え、宿題をやっと取りかかるこどもも多いハズ。親としては宿題をちゃんとやっているか、気になるところだが、残り少ない夏休みは、ぜひ親子でクルマの話をしてほしい。クルマ好きのこどもに育ってほしいという人も必見だ!
ということで、本企画では、こどもたちから出そうな疑問を中心に、9人の自動車ジャーナリスト、自動車アナリストに全力で答えてもらった。
こどもクルマ相談室と銘打っているが、大人にも気になる疑問も用意したので、ぜひチェックしてほしい。大人が意外に知らなかった疑問もあるかもしれないゾ!
写真/ベストカー編集部
回答者一覧(誌面登場順)……鈴木 伸一(整備士の資格を持っているメカに強い自動車ジャーナリスト)、永田 恵一(国沢光宏氏の愛弟子、自動車ジャーナリスト)、渡辺 陽一郎(カーライフ損得評価の達人。日本COTY選考委員)、加藤 久美子(子連れ系や海外自動車ネタにも強い自動車生活ジャーナリスト)、卜部 敏治(NPO法人エマージェンシー・マネジメント・アカデミー理事)、諸星 陽一(メカも歴史も詳しい自動車評論家。日本COTY選考委員)、高山 正寛(電子技術に詳しいカーナビ伝道師。日本COTY選考委員)、桃田 健史(アメリカを拠点にクルマ業界の最新情報を追う自動車評論家)、中西 孝樹(トップ自動車アナリスト。ナカニシ自動車産業リサーチ代表)
初出/ベストカー2018年8月26日号
■PART1/知っている人も改めてお勉強 篇
「普通の日本車の最高速って何キロ?」と聞かれて、即答できなかったあなた。クルマに関する素朴な疑問を集めたので、自分の知識が合っているか確認してみよう!
■ディーゼルエンジンの燃費がいいのはなぜ?
回答:鈴木伸一
空気と燃料を混ぜた混合気を圧縮後、スパークプラグの火花で着火する「ガソリンエンジン」に対し、「ディーゼルエンジン」は高圧縮することで発火点を超える高温になった圧縮空気内に燃料を噴射することで自己発火させる。
このような構造上の違いからピストンによる圧縮の度合い、つまり圧縮比がガソリンエンジンの7〜10に対して15〜20以上とディーゼルエンジンははるかに高い。
エンジンのような熱機関の熱効率は圧縮比が大きいほど高くなる性質があるため、圧縮比の高いディーゼルエンジンはガソリンエンジンより燃焼効率がよく、燃費もよくなるのだ。
■ディーゼルエンジンはなぜ馬力が小さいの?
回答:鈴木伸一
ディーゼルエンジンの燃料となる軽油はガソリンよりもカロリー(発熱量)が約10%ほど高い。つまり、燃焼時のエネルギーがそれだけ大きいわけで効率がよく、圧縮比も高いためトルクが大きくなる。
ところが、燃焼速度はガソリンより遅いため稼動回転域は低く、かつ狭くなる。出力(馬力)はトルク×回転数で計算。
同じトルク値なら高回転で出すほど高出力となるため、最高回転数が低いディーゼルエンジンは馬力が小さくなる。
■なぜポルシェとスバル以外はボクサーエンジンを作らない?
回答:鈴木伸一
左右に向かい合ったピストンが水平方向に往復する「ボクサーエンジン」は、対となる気筒同士が振動を打ち消し合う働きをするため振動が少なく、上下幅が薄く低重心という優れた利点がある。
ところが、部品点数が多く、排気の取り回しが複雑になるなど生産コストがどうしても高くなる。また、横方向に空間的な余裕がないため自動車というパッケージで考えた場合の制約も大きく、ポルシェとスバル以外はあえて生産していない。
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