以前、ベストカーWebにて「なぜグレイスは地味なのか?」という記事を掲載した。地味だけどいいクルマです、という企画だった。
掲載後には「実は隠れた名車だ」など多くの読者からのコメントもあり、ホンダ広報部もその声を目にして編集部に連絡が来た。
すると「ぜひグレイスにジックリ乗ってみてください」と3週間も貸してくれることに。そこまで言うならば、と弊社が撮影を依頼する池之平カメラマンに試乗を依頼。
目的地はなんと甲子園!! 高校球児に負けない熱いレポートをどうぞ。
文&写真:池之平昌信
■地味~な、旦那クルマだと思っていたら……
「お盆休みに甲子園まで往復するなら、ホンダのグレイスどうですか? 池之平さんのクルマ(三菱・ランエボVI)より燃費もいいですし(笑)」と編集部に言われたのは旅に出る2日ほど前。
「グレイス!? ど、どんなんだっけ? あ~あれか、しぶいクルマだな。けどまあ、燃料代が浮くのは助かるな……」。最初はそんな印象だった。
対面して、乗り込み、走り出してみても、印象は変わらない。まあ可もなく不可もなくってところ。
8月12日、家族と荷物を満載し、ド早朝に都内を出発。閑静な住宅街でも「シューーー」と走り出すのでなんのストレスもない。
走り出して数分で子供たちの寝息が聞こえた。東名高速道路に入っても滑るように走り、静かで安定している。帰省渋滞時間帯を避けて正解。すんなりと御殿場に着いた。
富士スピードウェイで行われたFUJI-1GPというレースを夕方までがっつり撮影して、再出発したのは午後6時。
サービスエリアで夕食を済ませ大阪へ急ぐ。このクルマに慣れてきたこともあり、「ホンダセンシング」のACC(追従式クルーズコントロール)を試してみた。
サンデードライバーも多いお盆の時期は、特に急な割込みなどにも気をつけたい。だが、いざというときクルマが補助してくれると思うと安心感が断然違う。
そんな機能に感心していると後の子供が言った。「このクルマって静かだね」と。
うちの子は父親の仕事柄いろんなクルマの後席に乗る機会が多い。だから自家用車のランエボに比べて、ということではない。
たしかに高速道路だろうと一般道だろうと、車内でしゃべる声がよく聞き取れるな、と感じてはいた。
■セダンであることに必要性がある
タイヤノイズ、風切り音、エンジン音、どれをとっても低レベルだ。加えて足回りも固からず、柔らかすぎず、適度。路面のつなぎ目なども「トントン」と越えていくイメージだ。
ミニバンやハッチバックのクルマに比べて室内の空間、空気の量が少ないので、音が「こもらない」のか? ボディー剛性が高いから乗り心地もいいのか?
もしかしてこれが「セダン」の良さなのか?
じわじわとグレイスの魅力を感じながら、快適に長距離移動をこなすことができた。それでいて、コンパクトカーなので小回りも効いて、駐車も楽。
狭い場所での乗り降りも楽。3ナンバー車だと切り返さねばならないような場面でも一発で駐車可能。「パパって運転上手だよね」とほめてもらえたのがうれしい!
大阪のホテルに入ったのは夜更けになってしまったが、子供(睡眠充分)もパパも疲れはててはいないレベルだ。
旅の目的は甲子園での高校野球観戦。クルマは駐車場にとめたまま、早起きして阪神電鉄で甲子園球場に向かい、当日券売り場に並ぶ。
予想以上の混雑。約4時間並び続け、ようやくアルプススタンドの入場券を買うことができた。猛暑の中の観戦だが初甲子園に感無量。泣きそうになった。
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