■ロータリーの2台はどうだったのか?
ユーノスコスモ(1990年4月)/20BーREW 654cc×3
カタログ馬力:280ps→推定馬力:330ps
一方、史上唯一の3ローターを搭載して280馬力勢の一員となったのが孤高のコスモだ。ユーノスコスモが出た当時は、マイナーチェンジしたFC3S型RX-7の13Bが205馬力になった時代。
ただし、コスモにも13B搭載車があって、シーケンシャルツインターボを搭載して230馬力を引き出していた。ロータリーの場合、1ローターでどれだけ出力を出せるかを考えるとイメージしやすい。出力自主規制を受けない2ローターで230psということは、すると1ローターで115馬力程度で、3ローターなら345馬力……、と考えると概ね想像がつく。
実際、当初は333馬力を想定して開発が進められていたところ、自主規制内に収めることが必要となり、排気系をデチューンして発売されたという経緯があるようだ。
そのぶん燃費は劣悪で、アイドリング燃費が非常に悪かった。バブル期の渋滞した都市部の市街地では3km/Lどころか2km/Lを下回ることも珍しくなかったとか。
マツダRXー7、FD3S型(1991年10月)/13BーREW 645cc×2
カタログ馬力:280ps→推定馬力:310ps
ちなみに、当時はイケイケだったマツダは、FD3Sにも3ローターを搭載する案がマツダ上層部から出たらしいのが、「それでRX-7のよさが損なわれてしまう」と小早川氏は固辞したそうだ。
そのFD3S型RXー7は1991年10月の登場時はなんとか255馬力、1996年1月のマイナーチェンジで265ps(MT)となり、ようやく1999年1月のマイナーチェンジで280ps(MT)に到達する。
ロータリーは、ちょっとブースト上げるだけで比較的簡単にドンとピークパワーが上がる。でも特性がピーキーになるし、燃費がガクンと落ちて、耐久性にも影響があるので、市販車では抑えていたはず。
おそらくこの280psの13Bも抑えていたと思われるが、それでも300psを少し超えた310psくらいか。
それにしても、今の技術でロータリーをつくると、どうなるんだろうか? 筆者もFD3Sを3台乗り継いだ筆者も、非常に期待しているのだが、今後どうなるのか……?
■切磋琢磨のランエボ、インプレッサSTIの開発競争
少し遅れて1990年代に一世を風靡した2Lのハイパワー4WD勢についても触れておこう。
ランサーエボリューションとインプレッサWRX STIは、いずれも1996年に、エボ4、インプはバージョン3において、それぞれ初めて280馬力に達した。
エボの4G63は、初代が250馬力、エボ2で260馬力、エボ3で270馬力、そしてエボ4でついに280馬力に達するわけだが、ただしこれは公称値であり、エボについては、かねてから「もっと出ている」と評判だった。三菱としても、「最低保証馬力」的な表現をしていた記憶がある。おそらく300ps以上は出ていたと推測される。
段階的に上昇しているのは、当時としては、2Lでこれだけの出力を絞り出すのは、精一杯だったことがうかがえる。
三菱ランサーエボリューション4(1996年8月)/4G63型2L直4ターボ
カタログ馬力/280ps→推定馬力:300ps
スバルインプレッサWRX STIバージョン3(1996年9月)/EJ20型2L水平対向4気筒ターボ
カタログ馬力:280ps→推定馬力:300ps
一方のインプSTI。一時期、多くのスバル車に搭載されていたEJ20は、かなりバリエーションがあって、インプのWRX STIには数々の専用パーツが与えられていて、その中でも世代によってかなり仕様が異なる。
GC8の前期型は耐久性に優れクローズドデッキだったところ、後期型では放熱性に優れ高出力を引き出す上で有利なオープンデッキを採用した。ちなみにその後のEJ20は、お互いの良いとこ取りをしたセミクローズドデッキを採用している。
こちらも2000年に発売された限定車「S201」がようやく300馬力だったことを考えると、けっこうギリギリのところでがんばっていたといえそうだ。
試乗してすぐにこれは280馬力以上あるなと感じたのはインプレッサ22ーB STIバージョン。2.2Lにボアアップし、フルバランス取りされたEJ22改水平対向4気筒エンジンは、EJ20が苦手とする低回転域からトルクを発生させつつ、7900rpmまでスムーズに回るフィールに驚かされた。
カタログ数値では280ps/37.0kgmだったが、2.2Lという排気量ということもあり、280馬力自主規制がなければ330psはいったのではないだろうか。
スバル インプレッサ22BーSTIバージョン(1998年3月)/EJ22改2.2L水平対向4気筒ターボ
カタログ馬力:280ps→推定馬力330ps
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