■スライドドアの意外な欠点とは?
しかしスライドドアには欠点もある。最も注意したいのは子供の飛び出しだ。横開き式ドアでは、開いた時でも斜め前方がドアパネルで塞がれるから、飛び出しがしにくい。
これがスライドドアでは前方も側方も開放されるから、飛び出しを誘発しやすい。スライドドアの優れた乗降性が、事故原因になるわけだ。
しかもスライドドアは、開いた時でもドアパネルが外側へあまり張り出さない。路上駐車をしている時など、ドアが開いても脇を走る車両から分かりにくいため、飛び出し事故の危険を一層高めてしまう。
幼い子供でも「安全と危険」に対する理解度は意外に高い。スライドドアの危険をていねいに説明して、勝手にドアを開けないように注意したい。チャイルドセーフティドアロックを利用する方法もある。
■乗降性は車種によって違う。開口幅の狭い車種もある
スライドドアの乗降性は、車種による違いに注意したい。軽自動車の場合、スライドドアの開口幅が狭い車種も見られるからだ。
開口幅は、タントがセンターピラーレスの左側が1490mm、右側が595mm。N-BOXは640mmの余裕があるが、スペーシアは600mm、ムーヴキャンバスは595mm、デイズルークス/eKスペースは580mmという具合に狭くなる。
大柄な同乗者が後席の乗り降りする場合、開口幅が580mmでは少し狭く、体を捩る必要が生じることもあるだろう。
■車両重量が重い、燃費が悪いというデメリットもある
スライドドアを備えた軽自動車は、背が高いこともあって車両重量が重い。スライドドアは手動式だと体力が必要で、子供を抱えている時も不便を感じる。少なくとも左側には電動式が欲しいから、車両重量が一層増えてしまう。
例えばスズキのワゴンRとスライドドアを備えたスペーシアを同等のグレード同士で比べると、スペーシアが80〜90kg重い。この違いは動力性能と燃費に悪影響を与える。マイルドハイブリッドを搭載するワゴンRのJC08モード燃費は33.4km/Lだが、スペーシアは28.2km/Lに下がる。
■スライドドア車は片側5万円アップ、両側だと20万円の上乗せ!
価格も異なる。装備の違いを補正して、スライドドアを備えた全高が1700mm以上の軽自動車は、1700mm以下の横開きドアの車種に比べて10万円は高い。スライドドアの電動機能は片側で約5万円だから、両側に装着された仕様を選ぶと合計20万円の上乗せだ。
もっともこの価格差は、高い天井による車内の広さ、後席を畳んで自転車なども積める機能を考えれば、割安といえるだろう。今は前述のようにスライドドアを備えた背の高い軽自動車が売れ筋で、激しい競争を展開している。その結果、全高が1700mm以下の軽自動車に比べて、10万円程度の価格上昇に落ち着いたのだ。
標準ボディに左側スライドドアの電動機能などを装着した買い得グレードは、N-BOXからデイズルークスまで、140万〜150万円の狭い価格帯に集中する。
N-BOXのG・Lホンダセンシングは、先進的な緊急自動ブレーキと実用装備を充実させて、価格を149万9040円とした。ライバル車との競争を考えると、150万円の壁は超えられないのだ。
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