日野自動車の大型トラック「プロフィア」が、2月15日から新車の生産・出荷を再開した。現在の出荷車は、規定の試験方法に則って排出ガスと燃費を計測し、その試験過程と結果を精査した上で、国交省に型式指定を申請したものである。さる3月1日、国交省の自動車燃費一覧で、その燃費性能が公表された。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
プロフィアA09Cエンジン車の生産・出荷を再開
日野は、昨年3月8日に型式指定にかかわる認証不正行為を自ら公表し、該当車種の生産・出荷を停止した。これを受けて、国交省ではその型式指定を取り消す処分をくだし、制度上でも出荷停止となった。
いっぽう国内の大型トラック新車市場は、コロナ禍以降、半導体の生産不順から納期が長期化している。トラックユーザー企業では、車両の更新計画を予定通り行なえず、経年車の運用を延長するという異常事態が続いている。
そのため日野では、型式指定の取消処分対象車のうち、まず大型トラックの主力モデルである「プロフィア」のA09Cエンジン(排気量8.9リッター)搭載車について、認証試験の不正再発防止策と申請作業の精査体制を整えた上で、排出ガスおよび燃料消費の認証試験を実施、昨年11月に改めて型式指定申請を行なった。
その結果、国交省はプロフィアA09Cエンジン車に型式指定を与え(1月31日)、日野は2月15日から、その生産と出荷を再開した。
純ディーゼル車は「2DG-」に
国交省が今年3月に実施した燃費公表では、エンジン出力・トランスミッションを問わず、純ディーゼルのほぼ全車型が「2DG-」の排ガス記号を冠することが判明した。この記号は「平成28年排出ガス規制適合・2015年度重量車燃費基準未達」を示し、新車新規登録時の自動車重量税における優遇措置、いわゆる「エコカー減税」の対象外となる。
型式取消時点では、「2KG-(平成28年排出ガス規制適合・重量車燃費基準達成)」「2PG-(同プラス5%超過達成)」「2RG-(同プラス10%超過達成)」が付与されていたが、実際にはいずれも燃費基準に届かなかったことになる。
今回付与された「2DG-」とは、型式取消時点ではトルクコンバータ式オートマチック・トランスミッション搭載モデルや消防車用シャシー「PR」など、大型トラックではマイナー車型の一部や、大馬力の重量物輸送用6×4トラクタにみられる程度だった記号である。もちろん競合車に対しては低位である。なお「PR」の場合、排ガス記号は不変だが、燃費審査値が1割ほど悪化した数値へ修正されている。
その国交省の燃費審査値を、型式取消処分の前後で比較すると、平均約11%の燃費値操作を行なっていたことがうかがえる。特に「2RG-→2DG-」へ変更された売れ筋モデル(車両総重量25トン・279kW=380馬力・12速機械式自動変速機の6×2および8×4シャシー)は約13%と、もっとも大きく乖離していた。この車型の場合、重量車燃費基準値に対して約97%の達成率とも言い換えられるのだが、現在公表されているプロフィア全体での平均達成度は約95%である。