日野自動車の小型トラック「デュトロ」をベースとする路面清掃車の自動運転実証実験が、5月10日から中部国際空港(セントレア)ではじまった。自動運転による路面清掃車の運行実験は日本初で、空港内のみならず道路維持管理の自動化にも波及しうる実験として注目されそうだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/日野自動車、加藤製作所
「走りながらの清掃作業」に自動運転技術
実証実験は、加藤製作所、新明工業、中部国際空港、日野自動車の4社が共同で取り組んでいるもので、路面清掃車に「SAE運転自動化レベル2(高機能)」相当の自動運転機能を搭載することで、滑走路および誘導路を含む空港制限区域内での現場作業の安全性確保、生産性向上、そして労働力不足などの課題解決を目的としている。
「SAE運転自動化レベル2(高機能)」とは、ドライバーによる周辺監視を必要とする特定条件下での自動運転機能を示すもので、国産大型トラックや乗用車などですでに搭載例があるが、この機能を「走行しながら作業を行なう路面清掃車」へ応用するのは、非常にユニークだ。
見た目は普通の小型トラックベース路面清掃車だが…
実験に用いられるのは、日野の小型トラック「デュトロ」標準キャブ積載量3トン級シャシーに、加藤製作所の真空吸込式路面清掃装置「HS-400W」を架装した車両で、小型トラックベースの路面清掃車としては、ごくごくポピュラーなスタイルといえる。
しかし、この実証実験では、空港制限区域内の清掃区間まではドライバーのマニュアル運転だが、清掃区間内で自動運転モードへ移行し、それと連動して、HS-400Wも自動で路面清掃作業(タブレット端末から操作できる)を行なうのが大きな特徴だ。つまり、高速道路走行など「普通の」運転自動化レベル2ではなく、作業走行を含めた自動運転を可能としたのである。
ちなみにHS-400Wには、散水装置、回転ブラシ、ブラシで巻き上げたゴミを吸い上げるブロワー(掃除機のような吸引装置)、ホッパ(集めたゴミを積載するダンプ式コンテナ)が搭載されており、さらにこれらを作動させる油圧を確保するため、専用の55馬力エンジンも有するなど、路面清掃のための装備を満載している。なお、通常これらはキャブ内設置のメカニカルスイッチでマニュアル操作している。