「2024年問題」をテクノロジーで解決! 米TuSimpleが東名高速での自動運転トラックの実験に成功

「2024年問題」をテクノロジーで解決! 米TuSimpleが東名高速での自動運転トラックの実験に成功

 自動運転トラックのTuSimpleが日本市場に本格参入する。同社は2021年12月に米国で無人のセミトレーラによって、人間のドライバーが介入しない世界初の完全自動運転に成功している。日本市場への参入は、「物流の2024年問題」など深刻なトラックドライバー不足に陥っている日本の現状も関係しているようだ。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/TuSimple

トラックの自動運転で世界をリード

「2024年問題」をテクノロジーで解決する! 世界で初めて無人運転トラックの走行に成功したTuSimpleが日本市場に本格参入!!
TuSimpleの自動運転フリート。世界初の無人運転トラックの走行に成功した同社は米国カリフォルニア州が本拠

 カリフォルニア州サンディエゴを本拠とする自動運転トラック技術企業である TuSimple Holdings, Inc.の日本支社である TuSimple JAPANは、2023年6月6日、日本市場に本格参入すると発表した。

 また、同社は既に2023年1月から東名高速道路にて自動運転トラックの走行テストを開始しており、今回そのテスト動画の一部を公開した。

「2024年問題」をテクノロジーで解決! 米TuSimpleが東名高速での自動運転トラックの実験に成功
東名高速道路で行なわれた自動運転トラックの走行テストの様子(公開された動画より)

 2015年創業のTuSimpleは、米国カリフォルニア州を本拠とし、米国・アジアを含む研究開発チーム約600人を抱えるグローバル企業で、世界で最も進んだ自動運転トラック技術を保有する企業のひとつだ。ドライバーが運転操作を行なう必要のない「レベル4」自動運転システムを開発している。

 東名高速での試験走行の動画では、ドライバー(?)が運転席に座っているものの(無人ではない)、車内カメラの映像からはハンドルを握るなどの運転操作を行なっておらず、レベル4相当の自動運転のようだ。

 米国では2021年12月に人間のドライバーが搭乗しない完全無人運転のトラック(自動運転セミトレーラ)の走行に成功している。同社によるとこれは世界初のことだ。また、開発した自動運転トラックを自社で保有し、自動運転による貨物運送ネットワーク(いわゆる”TaaS”、サービスとしてのトラック)を提供することも特徴となっている。

 米国ではUPSなど多くの物流企業に対し、2019年から自動運転トラックを用いた物流サービスを実際に提供してきた。2023年3月までの累積走行距離は、米国、欧州、アジアを含む自動運転トラックテスト走行と運営走行を合わせると、1600万kmを超えているそうだ。

 その日本支社である TuSimple JAPAN の設立は2017年と比較的早く、自動運転トラックおよびその幹線物流の商業化を研究して来たという。

 2021年には、TuSimple JAPAN 独自の自動運転システムと日本製トラックとの適合作業を行ない、シミュレーター検証、専用テストフィールド検証、シャドーモード検証など日本国内での自動運転トラック走行試験に向けた厳しい検証作業を完了させた。

 ちなみにTuSimpleは米国のトラックメーカー、ナビスター・インターナショナル(フォルクスワーゲンの商用車部門であるトレイトングループ)と提携していたが、2022年に提携解消している(理由は明示されていないが自動運転車の事故が影響しているものと見られる)。

日本市場に本格参入

「2024年問題」をテクノロジーで解決する! 世界で初めて無人運転トラックの走行に成功したTuSimpleが日本市場に本格参入!!
日本の東名高速で行なった自動運転トラックのテスト

 その TuSimple JAPAN はこの度、2023年1月から実施している東名高速道路での自動運転トラックテストの成功を発表するとともに、日本市場での本格的な事業参入を発表した。

 今後の計画としては、日本の物流に携わる事業会社や関係機関等との連携を強化し、2023年内に東京・名古屋間での自動運転トラックの走行実証実験、2024年からは完全無人自動運転トラック走行実証実験に向けた準備と、東京側の物流センターから名古屋側の物流センターまでの自動運転トラックの実証実験、東京・大阪間での自動運転トラック走行実証実験に着手する予定。

 その後、自動運転トラックの台数増加を行ない、事業検証における実証実験を重ねたうえで、本格的な実運用開始を検討する。

 株式会社 TuSimple JAPAN 代表取締役のナン・ウー氏は次のようにコメントしている。

 「自動運転トラック技術の応用には、日本物流業界が直面する “2024年問題” の解決という、重要なニーズがあると考えています。

 当社は、日本政府様および関連企業様が積極的に取り組んでいるこの大きな社会課題解決に、自動運転トラック最先端技術と世界各地で積み上げてきた実績を活かしてスピード感をもって取り組みます。

 そのためにも、物流業界の皆様の様々なニーズに合わせたシステム開発などでも協力連携し、信頼されるパートナーになれるよう努力して参ります。当社は、自動運転トラックの実用化・応用化をさらに加速させ、一日も早い課題解決に貢献していきます」。

 コメントにもある通り、働き方改革関連法によりトラックドライバーの労働時間が制限されることで国内物流の輸送力が足りなくなる「物流の2024年問題」は、日本の深刻な社会問題となっている。

 2024年問題に対してテクノロジーという側面から解決策を模索するという方針は日本政府も同じで、2024年度には新東名高速の一部区間に約100kmの自動運転専用レーンを設置し実証運行を開始する予定だ。自動運転トラックによる、より長距離(25年度に神奈川~愛知間を予定)の実証を経て、26年度以降の実用化を目指している。

 職業ドライバーの不足は日本のみならず、米国・欧州・中国など世界でも同じ傾向にある。自動運転というテクノロジーに対しては、トラックドライバーの仕事が奪われるという懸念もあるが、今後の輸送力不足を補うために、(乗用車よりは特に商用車で)必要とされている技術であることも間違いない。

(東名高速道路における自動運転トラックの実証実験の動画)

【画像ギャラリー】TuSimpleの自動運転トラックを画像でチェック!!(13枚)画像ギャラリー

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