ヤマト運輸は本年度中に、郵便受け投函型配送サービス「クロネコDM便」「ネコポス」の配送業務を、日本郵便へ業務委託する。それぞれの親会社である、ヤマトホールディングス(HD)と日本郵政が6月20日に合意した。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
DM便・ネコポス後継サービスがスタート
ヤマトHDと日本郵政の合意は、ヤマト運輸の投函型サービスの配送業務について、日本郵便へ委託するもの。ヤマト側では、発送営業所における集荷取扱いと引受郵便局への輸送のみ行ない、引受局から配達局への輸送および戸口配送(郵便受けに投函)は日本郵便が実施する。
ヤマト運輸が現在提供しているメール便サービス「クロネコDM便」については、2024年1月31日に終了し、翌2月1日から『クロネコゆうメール(仮)』の名称で取り扱いを開始する。
同じく、ネット通販や個人間取引で人気の薄型荷物投函サービス「ネコポス」については、2023年10月から順次サービスを縮小しながら『クロネコゆうパケット(仮)』の取り扱いを開始し、2024年3月末までに移行を完了する予定だ。
成長分野だが高品質サービス維持は難しい
クロネコDM便は昨年度8億冊で業界2位、ネット通販や個人間取引向けのネコポスは同4.1億個で前年度比7%増の伸びを示し、両商品合わせて年間1200億円の売上高を上げるなど、ヤマトにおいては堅調なサービスとなっている。
にも関わらず、日本郵便への業務委託を選択したのは、2024年問題にかかわるドライバーの不足とカーボンニュートラルを推進しながら、ヤマト運輸の本業である宅急便のサービス品質を維持するためという。
ヤマトHDの長尾裕社長(ヤマト運輸社長も兼務)は「2つの投函型サービスを提供するために、それなりの経営資源も使っている」と述べ、今後も高いサービス品質を維持していくことの難しさをにじませる。その上で、協業相手の日本郵便については「投函サービスの精度、サービス品質ともに高い」と評価する。
ヤマト運輸の鹿妻明弘専務は「当社の拠点では、ハコ物の宅配サービスと投函型サービスの作業を別々にやっている。投函型の配送業務を委託することで、勤務シフトなどいろいろな体制を簡素化できる」と話す。ドライバー不足・労働者不足が待ったなしのいま、配送ビジネスの見直しは不可避というわけだ。