フランスの大手トラックメーカー、ルノー・トラックスは大型トラックレンジの「T」「Tハイ」「C」「K」の改良を行ない、職業ドライバーの「ウェルビーイング」(心身に加えて社会的にも健康な状態を指す)と安全性を強化した。
こうした改良はディーゼル車のほか純電動トラックとなる「Eテック」シリーズにも及び、一部のデジタル技術はEテックでは標準化された。ウェルビーイングの訴求やソフトウェアによるBEVの差別化という手法は、日本メーカーとしても参考になる部分がありそうだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Renault Trucks
ルノー・トラックス、運転席をデジタル化し大型トラックの安全性を強化
フランスの大手トラックメーカーで、ボルボグループに属するルノー・トラックスは2023年6月26日、大型トラックの「T」「Tハイ」「C」「K」の大幅な改良を発表した。
ドライバーの健康と安全に重点を置いた今回の改良では、キャブインテリアの最適化により快適性とエルゴノミクス(人間工学)を融合するとともに、道路における安全性を向上するために先進的なドライバー補助システムを搭載した。
また、これらの改良はルノーのバッテリー電気自動車(BEV)となる「Eテック」シリーズでも利用可能となる。ルノーの大型トラックではCおよびTのEテックが市場投入されたばかりだ。
車両を継続的に改良し続けるというコミットメントのもと、ルノーはトラックドライバーに、より安全で、より機能的で、より快適な仕事環境を提供することを目指している。この目的のために大型トラックに安全機能を追加し、運転中と休憩中の両方でドライバーが快適に過ごせるようにキャブデザインを変更したほか、運行の効率化につながるデジタル技術を設定した。
車内の快適性と運転操作の最適化
キャブ内ではドライバーが運転席周りの環境により充足感を得られるように機器の最適化を行ない、エルゴノミクスに基づき、車内の快適さと車両の生産性向上の両立を図った。
ダッシュボードには新たに12インチのアジャスタブルディスプレイが装備された。このメインディスプレイの他に、自動車用の「Android」(米グーグルが開発しているOS)インターフェースを備えるタッチスクリーン式の補助ディスプレイを搭載し、アプリケーションへの直感的なアクセスが可能となっている。
メインディスプレイと補助スクリーンを使用する機能は、通話や音楽のコントロールなどを含め、全てステアリングホイールのスイッチで安全に操作可能だ。運転をより簡単にするため、スクリーンにはナビゲーションやカメラ画像を表示できる。また、スマートフォン用の無線充電器を取り付けることもできる。
ステアリングホイールにはレザー製のカバーを用意した。T、Tハイ、C、Kのシートとダッシュボードは、テキスタイル/レザー、クラシック/コンパクト、チャコールグレー/ブラック/レッドのカスタマイズに対応している。いっぽう電動モデルのEテック(T&C)では独自の青と赤の仕上げとなっている。
Eテックを含むルノーの大型トラックレンジでは、ステアリングコラムを3方向に調整可能だ。これはドライバーが自分の体形や仕事内容、そして個人の好みなどに応じて最適なドライビングポジションを採用できるようにするため。
ステアリングコラムは足踏み式のコントロールを使用してホイールの位置と傾きを調整できる。両手でハンドルをつかみ、簡単にロックできるため精度良く安全な調整が可能だ。