マスコミなどで大々的に報道される法案がある一方で、知らぬ間に変わる法律も数多い。道路交通法においても同様で、我々の耳に届かないケースが少なくない。そうしたカクレ法律改正、特に令和になってから変わった法律を改めてチェックしたい。
文/鈴木喜生 写真/ホンダ、写真AC
免許証がマイナンバーカードと一体化⁉
昨今、マイナンバーカード(以下マイナカード)に関しては健康保険証との一体化に関して賛否両論うずまいているが、それと並行して運転免許証との一体化も進められている。
2023年6月には「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が閣議決定され、政府はマイナカードと免許証の一体化を「2024 年度末までの少しでも早い時期」に開始するとしている。
つまり、当初は2024年度末までに実施するとしていた目標期間を可能な限り前倒しする方針を示したのだ。
マイナカードと運転免許証の一体化は、令和4年(2022年)4月の道路交通法の改正によって規定されたもの。
このふたつが一体化された場合、マイナカードのデザインは変わらず、そのICチップに運転免許証の情報が記録されることになる。その場合、運転時にマイナカードを持っていなければ免許不携帯とされるわけだ。
ただし、健康保険証のようにそれ自体が廃止されるわけではないので、ドライバーは運転免許とマイナカードの一体化に関して、以下の3つから選択することになる。
つまり、全廃される健康保険証と比べて意外と自由度が高い。また、運転免許とマイナカードを一体化した場合には、警察署や免許センターに行かなくても住所変更が一発で済むというメリットもある。
政府としてはあらゆる手段を使ってマイナカードを普及させたいようだが、ドライバーとしては免許証の使い勝手の良し悪しもあり、万が一マイナカードを紛失した場合のことも気になる。自分なりの嗜好に合わせて選択をしたい。
スマホの「ながら運転」の罰則が強化
運転中にスマホや携帯電話を使用する、いわゆる「ながらスマホ」の反則金がいくらかご存じだろうか?
スマホの急速な普及にともなって、平成の終わり頃からこの手の事故が多発。そのため令和元年(2019年)には改正法によって罰則が強化され、同違反に関わる基礎点数と反則金の額が引き上げられている。以下がその内容だ。
この表では「違反種別」が2つに分かれているが、上はスマホや携帯を「使用」して、交通における危険を生じさせたケース、つまり事故を起こした際に適応される。
一方、下はスマホや携帯を「保持」していたケースであり、つまり通話をしたり、メールやカーナビなどを注視していた場合などに適応される。
ちなみに、同改正法では新しい条項(第71条の4の2)が新設され、「自動運転装置を使用して自動車を運転する場合」には上記規定は適用されないとある。
ただ、国内の自家用車でレベル3以上の自動運転機能を実装しているのは、2023年時点では100台限定でリース販売されたホンダの「レジェンド」だけ。この条文はまだしばらく活かされそうにない。
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