【必須装備が絶滅危機!?】 なぜ必要? タコメーターの意義と存亡


 エンジンの回転数を示すタコメーターは、多くの乗用車に付いている当たり前の装備で「付いていないのは商用車や安価なグレード」というイメージがあるほど必須の装備。“タコ”は速度を意味するギリシャ語に由来する。

 しかし、昨今はハイブリッド車やEVといった電動車の普及などもあり、タコメーターのない車が増え、そうしたイメージも薄れつつある。

 また、日常的な運転の範囲では、タコメーターの必要性を意識しづらい車も増えてきた。かつて当たり前だった装備は、このまま消えていくのだろうか。

 現代におけるその必要性や減少した背景にある3つの理由、そして今後の存亡に迫る。

文:永田恵一
写真:編集部、TOYOTA


今でもタコメーターに実用上の必要性はある?

ポルシェボクスターのメーター類。AT車では日常的な運転でタコメーターを意識する機会は少ないが、スポーツモデルではタコメーターを大きく目立つ位置に配置するモデルが多い

 タコメーターは、エンジン回転数の把握に有用で、具体的な機能として「オーバーレブ(エンジンの許容以上の過回転)の防止」があげられる。

 誤ったシフトダウンなどによるオーバーレブは、エンジンの破損に直結し、それに起因する事故にもつながる。

 そのため、オーバーレブを防ぐため、エンジン回転数とレッドゾーンまでの幅をもとに「シフトダウンが可能か」を判断する目的でタコメーターの必要性はある。

 また、「効率の良いエンジン回転で走行するため」にも有用だ。

 多くのトラック(2t以上)でタコメーターに表記される“グリーンゾーン”(効率の良いエンジン回転域を示す)が代表的なのだが、機敏かつ静かに燃費のいいエンジン回転域で走るために、タコメーターは有効な装備でもある。

■実用面以外でもタコメーターは重要な“情報源”

 また、車を嗜好品として見た場合、タコメーターには「エンジン回転数を“情報”として得る」という意味もある。

 例えば「各ギアでの巡航中のエンジン回転数」、パワーバンド(パワーが盛り上がってくる回転域)やトラックのグリーンゾーンのような燃費良く走れるエンジン回転域の把握、「何回転以上は回してもパワーがついてこないからあまり回す意味はない」といった情報を得られる。

 こうした情報は、 重要度は低いとしても、 特に自動車ファンにとっては欲しいものだろう。

 前述した情報に加え、耐久レースなどで燃費を稼ぐための上限回転数などからスポーツ走行時に適切なギアを選ぶためにもタコメーターは重要な情報源だ。

タコメーターが減りつつある3つの理由

インサイトとプリウスは、ともに両社の主力HVシステムとなる「i-MMD」と「THS II」を搭載。この2台を筆頭に、多くのHVにはタコメーターが付いていない

【1】2ペダル車の増加

 ここ25年くらいの2ペダル車であれば、ほとんどの車にオーバーレブの可能性がある時には電気的にギアが落ちない機構が付いている。

 そのため、2ペダル車ならオーバーレブはまず起きず、タコメーターの必要性は薄れている。

【2】実用性・使い勝手を重視した車の増加

 こうした車はほとんどが2ペダル(のAT車)で、細かいことを考えながら走るよりイージードライブ性が重要なのでタコメーターの必要性は薄い。

 そのため、コスト増にもなるタコメーターはなくして、重要度の高いスピードメーターを大きくして見やすいものにするなどした車種が増えている。

 実際、筆者は現在タコメーターのない軽トラックとバイクに乗っているが、速度とエンジン音で不便なくギアチェンジできており、特に実用車であればタコメーターがなくても問題はないことがよくわかる。

【3】ハイブリッド車の普及

 モーターを主にアシストとして使う1モーターのハイブリッドなら、アクセル操作とエンジン回転がシンクロすることも多いのでタコメーターは欲しい装備だ。

 しかし、特に日本車で主流となっている2モーター式のハイブリッド(発電モーターと駆動用モーターを持つ)だと、エンジンを発電用モーターの動力源にも使うので、アクセル操作とエンジン回転がシンクロしないことも多々ある。

 そのためエンジン回転数がわかっても意味がない、エンジン回転の上下が激しく表示されても煩わしいという側面もあり、タコメーター装着車の減少につながっている(※トヨタの2モーターハイブリッド車には、一部にタコメーターが付く車もある)。

次ページは : タコメーターの存亡と“新たなメーター”の出現

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