スズキ アルトの圧巻すぎる安さと性能の軌跡【軽に革命を起こした風雲児が40周年】

アルトエコ投入で「燃費」でも軽に革新

2004年登場の6代目アルト(左)と2011年に登場したアルトエコ。環境性能への関心が高まるなか、燃費で軽自動車の新しい1ページを切り開いた

 1990年春、軽自動車は安全性を高めるためにボディサイズを拡大し、排気量を110cc大きい660ccとしている。これを機に消費税が導入されたからボンネットバンは魅力を失い、再び軽乗用車の時代が到来した。

 そして、1998年秋には再び軽自動車の規格を改定し、さらに安全性能を強化。同時に再びボディサイズを拡大し、今に至る。

 1998年9月、アルトはモデルチェンジを行い、5代目となった。新安全基準にミートさせた軽量衝撃吸収ボディを採用し、新開発のDOHCリーンバーンエンジンやVVTを加えたDOHCターボも送り出している。

 力を入れたのは燃費性能だ。これ以降はベーシックミニとしてのイメージが強くなり、2009年12月に登場した7代目ではベーシックミニとしての性格を鮮明にしている。初代アルトのように装備も簡素化し、低価格路線にシフトした。

 7代目で注目したいのは、エコ路線を強く打ち出したダイハツのミライースに対抗するため、アルトエコを投入したことだ。燃費に特化した新エンジンを積み、30.2km/Lの優れた燃費を叩き出している。

現行型で原点回帰! “小さな巨人”アルトが果たした役割

ライバルのダイハツ ミライースと現行型アルト。軽自動車高価格化が進むなかボトムで84万円という価格を維持。庶民の足として変わらぬ価値を持ち続ける

 これに続く8代目の現行型アルトは、初代と2代目の魅力にもう一度スポットを当て「原点回帰」を目指した。美しく、品格のあるベーシックミニにこだわり、真っ赤なボディカラーを復活させている。

 先代のアルトエコから60kgもの軽量化を断行し、インテリアもシンプルに徹した。また、歴代アルトの持ち味である優れた経済性も継承している。それでいて快適性も安全性もハイレベルだ。走りの実力も高いレベルにある。

 ヤンチャな高性能モデルも復活させた。まずターボRSが追加され、これに続いてホットバージョンのアルトワークスが復活する。

 ALTOはイタリア語で、「秀でた、優れた」の意味だ。走りにしても経済性にしても秀でた実力を秘めているアルトは、軽自動車の危機を救ってきた救世主でもある。アルトが登場しなかったら、今の軽自動車の隆盛はなかっただろう。

 多くの車に強い影響を与え、メイドイン・ジャパンの優秀性を強くアピールした小さな巨人、それがスズキのベーシックミニ、アルトだ。果たしてきた役割は限りなく大きい。

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