名車と呼ばれるクルマを探すと、ほとんどが過去に存在したクルマになる。つまり、名車であれ、名エンジン=名機であれ、評価されるのはそれなりの時間が経過した後、というわけだ。
だがもし、現在存在するエンジンのなかで、10年後に名機と呼ばれているものがわかったら? そのエンジンを積むモデルを愛車とするオーナーは、限りなく誇らしい気持ちで、これから先の10年を迎えられるんじゃないだろうか。
現行国産エンジンの名機はどれか? 選んだ尺度は評論家陣により微妙に異なるが、軽自動車のエンジンも含まれていることに注目してほしい。「名機」と「ハイパワー」であることは必ずしもイコールではない、という証拠だ。
なお、今回の選択にあたり少しでも電気を使っているパワーユニットは除外した。これから先、匠が手組みしたような「名モーター」が登場したら、今後同様の企画を展開した際に選択肢に入れようと思う。少し楽しみだ。
※本稿は2019年6月のものです
文:国沢光宏、西川 淳/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年7月10日号
■HONDA K20C(シビックタイプR/直4 1995cc+ターボ 320ps/40.8kgm)
(SELECT・TEXT/国沢光宏)
K20Cと同じようなスペックを持つエンジンは日本にこそないものの、世界的に見ると普通。そういった意味じゃ日本限定の名機候補ということ。K20Cが400馬力/500Nmになれば間違いなく名機と言っていいと思う。
・先進性…★★★☆☆ 3
・加速の伸び…★★★★☆ 4
・トルク感…★★★★☆ 4
・スムーズさ…★★★★☆ 4
・静粛性…★★★☆☆ 3
■NISSAN VR38DETT(GT-R/V6 3799cc+ツインターボ 570ps/65.0kgm)
(SELECT・TEXT/西川 淳)
あくまでもGT-Rというパッケージのなかで評価されるべきだろう。もちろん大パワーに耐えうる強靭さなど魅力もあるが、結果として国産スポーツカーをつるしのままで世界最前線に送り込めたというパッケージがあってこそ、の名機である。国産史上最速エンジン。
・先進性…★★★☆☆ 3
・加速の伸び…★★★★★ 5
・トルク感…★★★★★ 5
・スムーズさ…★★★★☆ 4
・静粛性…★★★☆☆ 3
■SUBARU EJ20(WRX STI/水平対向4 1994cc+ターボ 308ps/43.0kgm)
(SELECT・TEXT/西川 淳)
すでに名機として認められているEJ20。3ペダルミッションと組み合わせたボクサーユニットは、スポーツカー用としてユニークかつ高性能なパワートレーンとして歴史にその名を残すことは確実だ。水平対向を極めた歴史はそのまま現代スバル史でもあった。
・先進性…★★★☆☆ 3
・加速の伸び…★★★★★ 5
・トルク感…★★★★☆ 4
・スムーズさ…★★★★☆ 4
・静粛性…★★★☆☆ 3
■MAZDA SH-VPTR(アテンザワゴン/直4 2188ccディーゼル+ターボ 190ps/45.9kgm)
(SELECT・TEXT/西川 淳)
いわゆる「SKYACTIV-D」。14.0という驚異の低圧縮に世界が驚いた。高圧縮の「SKYACTIV-G」とともに、夢の内燃機関への第一歩、SPCCI(SKYACTIV-X)実用化への入り口となった点で、すでに名機の資格大。もちろん、国産ディーゼルエンジンへの再注目を促した功績も大きい。
・先進性…★★★★★ 5
・加速の伸び…★★★★☆ 4
・トルク感…★★★☆☆ 3
・スムーズさ…★★★☆☆ 3
・静粛性…★★★☆☆ 3
コメント
コメントの使い方