クルマと道路は切っても切り離せないもの。交通ジャーナリストの清水草一が、毎回、道路についてわかりやすく解説する当コーナー。今回は大雪による首都高の対応策について、課題と今後のあり方などを考察していく。
文/清水草一、写真/フォッケウルフ、資料出典/国土交通省
■正面衝突事故対策として設置
先日、島根県の山陰道(暫定2車線)を走っていて、衝撃的な光景を目にした。「4km先 事故注意」の表示に従って注意しつつ走行していたところ、上下線を区切るワイヤーロープ式防護柵の中間支柱が数本折れており、その先の狭い路肩に事故車両(軽ハイトワゴン)が停止していた。
状況から見て、わき見などが原因で、道路右側のワイヤーロープ式防護柵に単独で接触した事故と思われた。ボディの損傷は小さいようだったが、右前輪がサスペンションごと外れてクルマの脇に転がっていた。
あの程度の接触でサスペンションがもげてしまうというのは、ひょっとしてワイヤーロープ式防護柵の特性か? という疑問が沸いた。
ワイヤーロープ式防護柵は、高速道路の暫定2車線区間(対面通行)の正面衝突事故を防ぐ目的で、2018年から本格的に導入が始まった。
暫定2車線区間は、日本の高規格幹線道路(≒高速道路)総延長約1万2000kmのうち約4400kmと、全体の4割を占めている。交通量の多い大都市周辺ではあまり見かけないが、北海道、東北、中国、四国、九州地方は暫定2車線だらけだ。
暫定2車線区間は中央分離帯がないので、反対車線に飛び出しての正面衝突事故が起きやすく、死亡事故も多発していた。その対策として、幅を取らずに設置できるワイヤーロープ式防護柵が開発されたのである。
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