イメージだけで語ってない? それ本当にしょぼいんですか!?


ストラット式サスはしょぼいのか?

判定人/松田秀士

 ストラットはロワ(下)アーム1本だけのサスペンション。ダブルウィッシュボーンはそれにもう1本アッパー(上)アームが追加されたサスペンションで、F1のサスペンションがこれに当たります。で、マルチリンクは、このダブルウィッシュボーンの進化形です。

 ストラットは1本のアームのみでタイヤをコントロールするので、ストロークするたびにタイヤの接地面が変化します。対してマルチリンクは2本以上でコントロールするので、タイヤの接地面を理想的に接地するようデザインできるのです。

 もうひとつ、サスペンションにはロールセンターがあって、クルマの重心とてこの原理の関係にあります。重心とロールセンターが離れているほどにモーメントが大きくなってタイヤをより押さえつけグリップします。

 しかし、サスペンションは上下に動くものなので、このロールセンターも動きます。アームが1本しかないストラットはマルチリンクに比べてこのロールセンターの動きが大きくなりがちなのです。つまり、タイヤへの荷重移動を安定させるのが難しいサスペンション形式といえるでしょう。

 ただし、ストラットのメリットは部品点数が少なく軽量で、コンパクトモデルには欠かせないものです。また、バンプストッピングラバーの進化で動きを制限できるようになったのでウィークポイントを補えるようになってきています。

 新型Cクラスのフロントサスペンションがマルチリンクのベースとなるダブルウィッシュボーンに進化しましたが、新しいC63AMGは乗り心地とハンドリングを両立したすばらしいモデルになりました。

 ボクの見識では、ストラットはやはりショボいです。

判定‥‥70しょぼ

60扁平タイヤはしょぼいのか?

判定人/松田秀士

 まず扁平率が下がることでタイヤの接地面が広がります。

 さらに、タイヤって柔らかい物質だから力を受けると変形します。同じ外径(外周の長さ)のタイヤで60扁平タイヤは45扁平タイヤよりハイト(高さ)が高いので、ホイールのリム部からタイヤの接地面までが高いですね。てこの原理で、45より60に大きな力がかかります。

 さらに60のほうがタイヤそのものの容積が大きい=エアボリュームが大きいので、タイヤの変形も大きくなるんですね。当然、接地面の変形も大きくなり、コーナリングによってグリップ力の変化が大きいということになります。つまり、60より45のほうがグリップ力は高い。さらに45のほうが操舵時の応答性が速い、というメリットがあります。

 しかし、これがすべてではありません。クルマは、前後のバランスで走り、曲がります。4本のタイヤの適度なグリップ変化が、コーナリングに切れ味を与えます。

 また、45扁平にするとホイールのインチアップも必要になり、今度はハブとホイールリムとの距離が長くなり、てこの原理でモーメントが増すのでハブ剛性が問われるようになります。

 要約すると、クルマとのバランスが重要で60がショボいと言い切れるものではありません。ただし、ハーシュ(突き上げ感)はエアボリュームの大きい60のほうが有利ですが、バウンシングの終息はそのクルマとのセットアップ次第なので、一概に60がいいと言い切れるものではありません。

 また、タイヤは転がることやブレーキによって熱を持ちますが、それによって内圧も上がります。エアボリュームの大きい60のほうが鈍感で有利です。結論、別に60はショボくない。

 判定‥‥20しょぼ

3気筒エンジンはしょぼいのか?

 判定人/鈴木直也

 昔からエンジンは気筒数が多いほうが〝偉い〟とされてきた。じゃあ、なんで多気筒化を目指したのかといえば、よりパワフルに、よりスムーズにというラグジュアリー志向によるもの。多気筒の方が贅沢だからエラかったのだ。

 この文脈からいえば、3気筒エンジンは明らかに4気筒よりショボいと言わざるを得ない。とくに、4気筒エンジンは昔から〝気筒数の下限〟イメージがあるから、それを下回っちゃうと「なんか落ちたなぁ」って印象。下流イメージが拭えない。

 いっぽう、最近の世の中の流れは、何をさて置いても燃費効率アップ。CO2排出量規制に適応するためなら、できることは「なんでもやりまっせ」というのが切実なトレンドだ。

 こういう待ったなしの規制を前にすると、なりふり構っちゃいられない。EUのCO2規制が厳しい欧州車でとくに4→3気筒への気筒数削減が増えてきているのはそのためだ。

 まぁ、3気筒がショボいのは否定できないわけですが、21世紀に生きるわれわれとしては、エネルギー効率アップのためにそれを受け入れざるを得ないというが現状ではないでしょうか?

 判定‥‥50しょぼ

センターデフ式に対して電子制御4WDはしょぼいのか?

判定人/鈴木直也

 高速オンロード4WDの元祖アウディ・クワトロは、センターデフを装備することで、柔軟な前後トルク配分と優れたハンドリングを実現した。この歴史的経緯が、4WDはセンターデフ付きこそが〝本物〟という価値観を生んだんだと思う。

 その後、オンロード4WDが普及してゆく過程で、ビスカスや電子制御カップリングなどの新しいメカが登場してくる。これらは複雑なセンターデフを使わずに、よりイージーに前後トルク配分を制御できるのがウリ。必要に応じて駆動力を発生させるという意味で、この新世代は〝オンデマンド4WD〟と呼ばれることになる。

 初期のオンデマンド4WDはビスカス・カップリングが主役だったから、レスポンスの鈍さが指摘されることも多かったが、電制カップリングが普及した現在となっては、性能的にセンターデフ付きに劣る部分はほとんどない。

 むしろ、オンデマンド4WDが、別名〝生活4WD〟と呼ばれて普及していったことが、このタイプの4WDがショボいと思われている大きな理由。ネーミングにちょっと問題があるんじゃないすかね?

 判定‥‥10しょぼ


 しょぼいイメージを持っていたけれど、それは単なるイメージに過ぎず、今や進化し、ぜんぜんしょぼくなかったモノもけっこうあるものですねぇ。やっぱり「先入観は悪」である。技術やモノの進化は日進月歩。

 今、しょぼいと思われがちなモノと対比される最新の技術や部品もやがては世間にしょぼいと思われるハズ。でも、そうして出来上がった常識をたまには疑ってみるのもまた、クルマの理解を深めるいい機会かもしれませんね。

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