日本を代表するスポーツカーである日産GT-Rには、究極の走りを実現する高性能エンジンが搭載されています。
この「GT-R用エンジン」の凄さは、そのエンジン技術はもとより、熟練職人「匠」が一基ずつ手組みしているという「ものづくり」に対する取り組み姿勢にあります。
日産はなぜ、GT-R用エンジンの手組みにこだわっているのでしょうか。元自動車メーカーエンジニアの筆者が紹介します。
文:吉川賢一/写真:日産、ベストカー編集部
GT-R用エンジンとは
GT-R専用エンジンは、VR38DETT型3.8L V6ツインターボエンジンです。
先日登場した2020年モデルでは最高出力570ps、最大トルク637kgmを発生、また、より動力性能を突き詰めたGT-R NISMOに至っては最高出力600ps、最大トルク652Nmもの高出力化を実現しています。
エンジンのパフォーマンスともに注目されているのが、「匠」と呼ばれる熟練職人によって、エンジン一基ずつ手組みで組み上げられているという点です。
「匠」とはどんな人か
日産は、GT-R用エンジンの手組み作業のためだけに、ものづくりに卓越した5人の職人を「匠」として選抜。
この5人の「匠」は、手の感触でミクロン単位の違いや、聴感でちょっとした異常が分かるという、いわば「職人の頂点」を極めた人たちです。
この「匠」による手組み作業は、チリやホコリのないクリーンルームで行い、組み上げたすべてのエンジンひとつひとつについて、品質確認や性能確認を行うほどの徹底ぶりです。
組み立てたエンジンには、手組みの重責を担った証として「匠」のネームプレートが貼り付けられています。職人としては大変名誉なことに思われますが、「匠」にとってはいい意味でプレッシャーにもなっていることでしょう。
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