3000万円てマジか…… と思ってたのは序の口だった!! 「最後の」中古NSXタイプRを追いかけた[復刻・2013年の話題]

3000万円てマジか…… と思ってたのは序の口だった!! 「最後の」中古NSXタイプRを追いかけた[復刻・2013年の話題]

 本誌『ベストカー』にて、インパクトの強い話題を取り上げる連載企画『文京区発 写真で見る衝撃の真実』。数ある企画の中から、当時としては破格、3000万円もの値が付いた“最後の”NSXの話題をプレイバック。(本稿は「ベストカー」2013年4月26日号に掲載した記事の再録版となります)

取材協力:ヴォーグスポーツ(東京都足立区)

■ 新車のフェラーリやマクラーレンより高値! 一体なぜ?

3000万円で販売されている2006年登録の最後!? のNSXタイプR。ボディカラーはチャンピオンシップホワイト、シートは赤のレカロ、ホイールカラーはガンメタ。走行2220km
3000万円で販売されている2006年登録の最後!? のNSXタイプR。ボディカラーはチャンピオンシップホワイト、シートは赤のレカロ、ホイールカラーはガンメタ。走行2220km

 日本車史上、最高のスーパースポーツに挙げられるNSXのスペシャルモデルとしてラインアップされたのがタイプR。

 絶版となった今、中古車市場でも人気の高い国産スポーツの1台だが、驚くことに3000万円の値が付けられた中古のNSXタイプRが存在する! 新車のフェラーリ458イタリアやマクラーレンMP4-12Cより高値なのだから衝撃的だ!

 NSXタイプRは「I型」と呼ばれる前期型(3Lエンジン)が1992年に登場。

 この3000万円の値の付けられたタイプRは「III型」と呼ばれる2002~2005年まで生産された後期モデル(3.2Lエンジン)で、新車時価格は1255万4880~1355万2350円。中古車なのに新車の2倍以上のプレミア価格が付けられたことになる。

 どうしてここまで高値なんだ!? 3000万円のタイプRを販売している東京足立区の中古スーパースポーツ専門店「ヴォーグスポーツ」の久保田氏に話を聞いてみると……。

「タイプRは150台くらい生産されたと言われているのですが、この2006年登録タイプRに付けられているシリアルナンバーは『153』。

 そして、このタイプRを購入した元オーナーさんが新車で買った時にホンダの販売店から『最後のタイプRを当社から納車できましたことを大変うれしく思います』といった内容の手紙をもらったそうなんです。

 最後のタイプRという理由で特別な値段を付けさせていただいたわけですが、以前にほかのショップさんで150台目に近いタイプRが3000万円くらいで売られていたことを聞いたので、このクルマも3000万円の価格をつけさせていただきました」

助手席ドアのステップに付けられているシリアルナンバー。“R1153”の“R1”は後期型タイプRに共通の番号で“153”が153台目に生産されたことを表わす
助手席ドアのステップに付けられているシリアルナンバー。“R1153”の“R1”は後期型タイプRに共通の番号で“153”が153台目に生産されたことを表わす

 手作業で組み立てられる部分が多いNSXタイプRは少量生産車だが、限定車ではないためホンダも生産台数は公表してはいない。

 そのためタイプRは正確に何台作られたのか、わからないのだが、販売したホンダディーラーの言葉を信じると、この153号車のタイプRは最後のタイプRR。その記念プライスが3000万円というわけだ。

 ちなみに、現在タイプRの中古相場は幅はあるが前期型は800万円前後、後期型は1400万円前後だという。

「今後はさらに値上がりしそうです」とは、前出の久保田氏。

 それにしても3000万円とはかなりのお値段だが、NSXタイプRオーナーでレース大好きのラジオDJであるピストン西沢氏は

「特別なタイプRなら、熱心なNSXファンは3000万円でも欲しいんじゃない。でも性能や乗り味でタイプRを選んだ俺には関係ないナ」

 とコメント。

 日本を代表するスーパースポーツであり、かつコアなファンも多いNSXのなかでも特別希少なモデルとなれば、3000万円もファンにとっては高すぎることはない!? 

 また、このNSX以外にもスペシャルプライスが付いた国産中古車はある。

 まずは、2002年式R34型スカイラインGT-RVスペックIIニュルで、価格は930万円。これも3000万円のタイプRと同じヴォーグスポーツで販売中。

2002年式スカイラインGT-RVスペックIIニュル/930万円、走行距離254km。ボディカラーブラック(ヴォーグスポーツ)
2002年式スカイラインGT-RVスペックIIニュル/930万円、走行距離254km。ボディカラーブラック(ヴォーグスポーツ)

 R34のニュルも中古で新車価格(610万円)を超える車両は多いが、新車時より320万円も高いプライスだ。

「まだ254kmしか走っていない新車同然の車両です。昨年は未登録車のニュルが1500万円で売れました」

 GT-Rといえば第一世代のハコスカやケンメリは、今も昔も超人気の名車。中古相場はハコスカGT-Rで700万円前後といったところだが、三重県のVINTAGE宮田自動車では1971年式ハコスカGT-R(2ドア)が980万円。旧車専門店によるとハコスカもケンメリも100万円を超える車両が出てくることもあるという。

 それとやはり、ヴィンテージで高値がついているのがトヨタ2000GTで、3000万円以上に仕上げられたものもある。GT-Rやトヨタ2000GTはもはや日本のお宝だ。

1971年式スカイラインGT-R(KPGC10)/980万円、オリジナル仕様(VINTAGE宮田自動車)
1971年式スカイラインGT-R(KPGC10)/980万円、オリジナル仕様(VINTAGE宮田自動車)

 プレミア価格が付く中古スポーツは、ポルシェやフェラーリといった輸入車だけじゃない。

 海外に輸出される日本の中古スポーツも多く、世界的に見ても国産スポーツの注目度はかなり高い。今、国産中古スポーツの“価値”は上昇中です。

(内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)

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