「プリウスミサイル」という呼び名は正しいのか? 急発進・暴走を防止せよ!! 

プリウス独特の発進の仕方にも問題あり?

プリウス独特の発進加速に問題があるのだろうか?
プリウス独特の発進加速に問題があるのだろうか?

 Nレンジから慌ててDレンジに入れて急発進し、暴走するケースが指摘されているが、そもそもプリウスは通常のスタート時、モーターのパワーのみ使う。

 現行50型プリウスは、98ps/14.5kgmの1.8L、直4エンジン+72ps/16.6kgmの電気モーターを組み合わせている。

 先代30型プリウスは99ps/14.5kgmの1.8L、直4エンジン+82ps/21.1kgmの電気モーターだ。システム出力は30型が136ps、50型が122ps。

 プリウスはNレンジだとエンジンがかからないので、NからDレンジに入れた直後の状態では72ps/16.6kgmのモーター出力のみ。 出足から太いトルクが発生するプリウスだが、同排気量のエンジン車(150ps/20kgmくらい)がNレンジのアクセル全開状態からDレンジに入れた場合はプリウスより速い。

 ちなみに通常、プリウスはDレンジで発進すると、モーター起動時のトルクが最大となるため、約40km~50km/hまで太いトルクで加速する。その後エンジンが始動して60km/hを超えてからの加速は鈍くなる。

 エンジン車に比べると静かでいつのまにかスピードが出ていることに気づきにくく、踏み間違えた場合に気がつくのが遅れてしまうことも指摘されている。

 こうしてみていくと、そうした警告に気付かない、あるいは警告によって驚いてパニックに陥ってしまうことを考慮してクルマ作りをしなければいけないということだ。

 もし誤操作しても警告が表示されるから気付くだろう、ブザーによって気付くだろうという常識が、高齢者ドライバーには通用しないこともあることをクルマを供給する側は意識しなければならないといえる。

 つまり、問題はプリウスというクルマ単体にあるのではなく、高齢者の運転事情と、それに安全技術が追いついていないクルマ社会全体にある、ということだ。

プリウスミサイルという呼び名は妥当か?

 筆者自身は現行50型プリウスは乗り心地、ハンドリングともに格段に向上していながら燃費も向上させるなど、開発陣の努力が伺える素晴らしいクルマだと思っている。

 販売台数の20台に1台はプリウスであることと、プリウス購入者の47%が60歳以上であること。さらに、プリウス以外の事故では車種への注目が低いことなどが重なり、プリウスミサイルと呼ばれているのではないか。

 個人的には、このプリウスミサイルという報道は、高齢者への免許制度改正だけでなく、これからのクルマは高齢者が運転することをもっと意識して仕様を考える必要があると、考えさせられた。

 さらに若く運転を楽しみたいドライバーのためには性能抑制の解除キーの操作を教えるなどの対策も含め、デフォルトでは高齢者の特性を考えた仕様にすることが大事ではないだろうか。

ペダル踏み間違い装置の普及が急がれる

トヨタの後付け踏み間違い加速抑制装置は販売店装着の純正用品で発売。写真下段が超音波センサー(前・後)、写真右上が車内に取り付ける表示機 価格は工賃含めて約8万円(本体5万5080円)  
トヨタの後付け踏み間違い加速抑制装置は販売店装着の純正用品で発売。写真下段が超音波センサー(前・後)、写真右上が車内に取り付ける表示機 価格は工賃含めて約8万円(本体5万5080円)  

 最後に、暴走事故、急発進事故撲滅のカギとなる後付けのペダル踏み間違い装置にも触れておきたい。

 高齢者は1台のクルマに長く所有し、金銭的に新車が買えないケースが多いからだ。

 トヨタは2018年12月から後付けの「踏み間違い加速抑制システム」を発売。製品は異なるものの、ダイハツも同時期に軽自動車向けの後付け装置、つくつく防止を発売している。

ダイハツは後付けペダル踏み間違い加速抑制装置『つくつく防止』を発売。価格は3万4560円(標準取り付け費込み5万9508円)。 対象車種は2代目タント、4代目ムーヴ、7代目ミラなど<br>
ダイハツは後付けペダル踏み間違い加速抑制装置『つくつく防止』を発売。価格は3万4560円(標準取り付け費込み5万9508円)。 対象車種は2代目タント、4代目ムーヴ、7代目ミラなど

 トヨタの後付けペダル踏み間違いシステムは、前後のバンパーに超音波センサーを2個ずつ取り付け、壁などの障害物をモニタリングし、クルマの前後3m以内の障害物を検知し、シフトレバーの入れ間違いをブザー音などで警告。

 この時、ブレーキと間違えてアクセルを強く踏んでも加速は抑制され、車内に設置する表示装置に「アクセルを離してください」という警報が出る。

 また、後進時に時速5km以上になると加速を抑制させ、ブザーと表示で警報するという機能も用意されている。踏み間違いはクルマをバックさせる時に起こりやすいためだが、いずれの場合もブレーキをかける機能は付いていない。

 対象車種はプリウス(3代目30型)やアクアなど販売量の多いモデル、プレミオ/アリオンなど高齢者ユーザーが多いモデルを対象に5車種に取り付けできるようにした。そして2019年6月には3車種を追加し、2019年末までには全12モデルへと拡げていく。対象となる保有車両は458万台におよぶという。

 さらにホンダと日産は2019年6月の株主総会で株主の質問に答えるかたちで、後付けペダル踏み間違い装置の販売を急ぐ方針を表明した。

 国土交通省も国産乗用車8メーカーに、2019年8月初旬までに後付け装置の開発計画を作成するよう要請した。年内には装置の認定を制度化する方針とのこと。

次ページは : 東京都が2019年8月28日から後付けペダル踏み間違い装置の補助金受付開始

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