「日産よ、腹を括って一丸となれ」いまこそ応援したい日産の大逆境…本当の原因と再生への道

■日産復活の「打ち手」は…?

 さて、「日産はハイブリッドが弱い」と言う人がいるが、e-POWERはストロングハイブリッドであり、むしろトヨタに次いで早期にHEVをラインナップに加えたメーカーである。

 そもそもBEVのリーフを2011年に発売した時、BEVは原子力発電の安価な夜間電力を利用する前提だったのだが、不運なことにリーフの発売3ヶ月後に東日本大震災が発生し、原発が止まった。電力グリッド構想の部分として機能するはずだったリーフはハシゴをはずされたわけだ。

 しかし膨大な開発費をリクープしなくてはならないので、リーフの駆動モーターをそのまま転用することで、e-POWERは2016年にデビューした。欧州の自動車メーカーが現在進行形で頭を悩ませているHEVへの進路変更を、日産は2016年にはすでに済ませているのだ。そこは間違えてはいけない。

日産は「e-POWER」という強力なHEVの仕組みをもっている。地域特性と使い方の組み合わせの問題はあるが、潜在能力は非常に高い。三菱やホンダとのアライアンスもある。打ち手も希望も、なにより技術もある!
日産は「e-POWER」という強力なHEVの仕組みをもっている。地域特性と使い方の組み合わせの問題はあるが、潜在能力は非常に高い。三菱やホンダとのアライアンスもある。打ち手も希望も、なにより技術もある!

 ただし「失策」と言えるものもある。2016年にデビューしたe-POWERの米国投入が、去年の発表で2025年とアナウンスされていた。なぜすぐ投入できるものを遅らせたのか。おそらく社内のBEV派とe-POWER派の対立があったのではないかと思う。

 たしかにe-POWERはエンジンルームに発電用のエンジンとモーター/インバーターを搭載しなければならない関係上、大型車には向かない。大排気量エンジンが入らないからだ。しかしそれでも米国にCセグクラスの需要があること、そこにHEVを選ぶマーケットがあることを無視する理由にはならない。

 ひとまず日産はHEVにも「コマ」を持っていることはプラス。ただしインフィニティの主力となるような、中・大型のセダンとSUV用のユニットがないことは弱みであると思う。

 未来はどうなるかわからないのだが、それでも勝負をかけるとすれば米国マーケットだろう。まずここで値引き販売を徹底して止めないと「次」がない。一度値崩れさせてしまったクルマの適価販売はなかなか難しいだろうから、とにかく早急に新型車を投入し、それらを絶対に値引きせずに売ることである。

 そのためにはお客が欲しがるクルマでなくてはならない。米国では当分HEVが選ばれる時代となりそうなことを考えると、インフィニティのHEV化が急がれる。時間を切ってもやむなしなので、三菱からPHEVユニットを、あるいはホンダからe:HEVの提供を受けてインフィニティブランドの底上げを図ってはいかがだろうか。

 いずれにしても、横浜の本社からはるかに離れた米国の、しかも独立性の高い販売店にガバナンスを効かせるのは並大抵のことではない。

 が、しかし、それができないと日産再生の道は遠のく。内田CEOの戦略は妥当なものに見えるので、内部抗争がお家芸の日産が、本当に腹を括って一丸となり、北米の販売改革を成し遂げられるかどうかが、日産の運命を決めるように思う。

【画像ギャラリー】日産は「2026年度までに16車種の電動車両を含む30車種の新型車を投入」の旗を降ろしていない!!(8枚)画像ギャラリー

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