スバルの2Lしかない!
TEXT/国沢光宏
WRX S4の積む2L直噴ターボ、FA20型の一択しかないでしょう!
S4のFA20ターボ、300ps/40.8kgmというスペックは、世界的に見ても誇れるレベルに仕上がっていると思う。
今、世界の潮流は直噴ターボだけど、現状の国産エンジンで世界に伍しているのはこれだけしかないからね。実際に乗ってみても下からトルクが出ているし、今回のタイラリーのステージでも220km/hで走れたくらい。
今後、FA20ターボは熟成次第でEJ20のように成長していく可能性だってある。EJ20は初代レガシィRSで220ps/27.5kgmだったのが、現行WRX STIでは313ps/43.0kgmにまで向上しているんだし。
いっぽうで、インプレッサのFB20型は、スポーツDOHCとして86/BRZのFA20型がお手本としてあるんだから、もうちょっとキャラクターづけができていてもよかったかもしれない。
最終的な決着は「乗って楽しいのは」
TEXT/渡辺陽一郎
まず、5つのエンジンのなかから残るのはふたつ。いずれもスバルの水平対向で、ひとつがインプレッサの2L、もうひとつがレヴォーグなどの2L直噴ターボだ。ベストがどちらかといえば、これはけっこう悩む選択となる。
まず、インプレッサのFB20型は新開発になり、150psだった旧型の2.0i-Sアイサイト(4WD)のJC08モード燃費が16.2km/Lだったのに対し、現行型2.0i-Lアイサイト(4WD)では16.8km/L、エンジンパワーは154psに向上させている。先代型に比べてフレキシブルで使いやすく、品行方正なバランスのよさが光る。
いっぽう、FA20ターボは4L,NAなみの実用域トルクの太さ、吹き上がり、さらにターボエンジン特有の癖がないことなど、乗って楽しいエンジンに仕上がっている。コストパフォーマンス的にも充分満足できる。
最終的には〝乗って楽しい〟という観点で決着をつけるとなると、やはりFA20ターボが一歩も二歩も上を行っている。今回の企画の趣旨からすると、ナンバーワンにふさわしいエンジンはこちらになるだろう。
ロードスターの1.5Lエンジンは、使い切れるパワーという意味では面白さもあるが、日本のガソリンエンジンナンバーワンかと言われれば正直、そこまでの域には達していないかと。
結果発表
最終結果は、WRX S4の2L,FA20ターボを選んだ国沢氏と渡辺氏、ロードスターの1.5L,P5-VPを選んだ鈴木氏となり、計2対1。わかりやすい形で、スバルのFA20ターボが現在の国産純ガソリンエンジン車ナンバーワンとなった。
その決め手となったのは、FA20ターボの実用域での太いトルクとシャープな吹き上がりのパワー感、そして意外にも思える燃費のよさだろう。
国沢氏と渡辺氏がともに指摘するのは、「世界で戦えるレベルにある〝楽しい〟ガソリンエンジンが現行ラインアップではこれしかない」ということだ。
現在、このエンジンを積んでいるのはWRX S4とレヴォーグ、そしてフォレスターだが、同じ2L直噴ターボでもレクサスIS200tやクラウンアスリートG-Tなどの積む8R-FTSとはパワー感がまったく違う。
こちらはスペック的には245㎰/35.7kgm(クラウンは235ps)と、このエンジンは従来型v6、2.5L,DOHCの置換エンジンとしての位置づけになっている。
また、同じ水平対向2Lターボでも設計年次が古いEJ20型になると、JC08モード燃費が9.4㎞/Lと、FA20型の13.2km/Lに比べてかなり落ちてしまう。そうなると総合的な評価が落ちてしまうのは致し方ないところ。
ほかのカテゴリーではロードスターの1.5L、インプレッサの2L、レクサスLS460の4.6L、そしてステップワゴンの1.5Lターボが総当たり戦には残ったものの、FA20型ほどのアピールポイントには欠けていたということだろう。
当企画の実質的な予選にあたる、「カテゴリー別 純ガソリンエンジンNo.1決定戦」の記事はこちら。
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