クルマに乗るうえで支払わなければならないのが自動車税。ルールだから当然のことだが、近年「自動車税のグリーン化特例」という名のもとにある政策がとられている。
それが新車登録から13年以上超過したクルマへの重課税。古いというだけで、15%も余分に税金を支払う必要がある。少し怒り気味の担当が関係省庁などにいろいろ聞いてみた!!
文:ベストカーWEB編集部/写真:スバル、shutterstock
どんなクルマが重課税になるの?
クルマに乗るうえで支払わなければならない自動車税。これはルールだから、税金の高さには苦言を呈したいが理解するとしよう。またエコカーには燃費がよいからと減税がある。
新車登録の翌年の自動車税が最大75%オフになるのだ。これも消費者からしたら歓迎すべきことで理解できる。また政府の買い換え促進だって、経済を考えたら致し方ないだろう。
しかし腑に落ちないのが13年以上経過したクルマには重課税がかかること。たしかにエコカーのように燃費はよくないかもしれないが、逆をいえば資源を大切に使い続けているともいえるわけ。
なんだか納得がいかない担当。ここでどんなクルマが15%の重課税の対象になるかおさらいしてみよう。
- ・2004年3月以前に登録されたガソリン車/LPG車
- ・2006年3月以前に登録されたディーゼル車
- ・2004年3月以前に登録された軽自動車は20%の重課
上記の対象車種のなかでもハイブリッド車や一般乗り合いバスなどは重課税の対象外になる。
「たかだか数千円払えばいいんだから文句言うな」という方もいるだろうが、そもそもこんな罰金的な重課税が気にくわないではないか!!
13年したクルマに乗るなら+アルファを払えというのなら、なにか特典でもあるのか?
ファミレスの10%オフクーポンが10枚ついてくる、とかならまだわかるけど余分に支払った税金に対する特典はない。この仕組みについて監督省庁に聞いてみた。
総務省「お気持ちはわかりますが……」
とりあえず怒りは鎮めて「なぜ税金が高くなるのか?」を知るために、総務省の都道府県税課自動車税制企画室に聞いてみた。このような問い合わせは多くあるようでとっても親切に教えてくれた。
ベストカーWEB:登録から13年という年式で区切るのには理由がありますか?
総務省:平成13年度の国会で審議された内容なのですが、当時の新車の保有期間の平均が約10年でした。その10年に車検1回分(2年)をプラスして13年という基準になったと記憶しています。
排ガス性能に関しても13年という期間が大きく性能が変化する一定の目安とされました。
ベストカーWEB:なぜ軽自動車だけは20%の重課なのですか?
総務省:軽自動車は1万8000円の自動車税ですが、登録車との重課分の格差をなくすために5%余分に重課しています。ユーザーさんの心情も理解できますが、課税の公平性という部分ではこうなっています。
ベストカーWEB:たとえば初代プリウスはエコカーなので20年が経ちますが重課対象外ですよね。でも排ガス性能だけでいえば、よりクリーンなクルマは重課対象のガソリン車にもあるかと思いますが?
総務省:鋭い指摘ですね(苦笑)。年式とハイブリッドか否かで一律で区切りをしているので、そのような矛盾も生じる可能性は大いにあると思います。
現段階では重課対象車への細かな環境基準の区分がないというのはおっしゃるとおりで、今後は細分化すべきかなど議論の対象になるかもしれません。
ベストカーWEB:重課された分の税金はエコカー減税での減収の補填に使われる?
総務省:減税と重課はセットです。税収が減ればどこかかから多くとらなければならないんです。総務省の先には地方団体がいるわけですから、地方団体の収入バランスを悪化させることは我々もできません。
ベストカーWEB:国土交通省と経済産業省は税金を安くしろ、と要望を出していますが総務省は反対の立場なんですか?
総務省:たしかに国交省や経産省は関係団体からの要望、各企業からの要望を取りまとめて軽課(税金を安くする)を要求しています。
しかしすべてを鵜呑みにすると税収が減ってしまうんです。だからエコカーには減税するけど、13年超のクルマには重課する。総務省は国会での意見を反映してバランスをとっています。
減収分はどこかで賄う。これは当然だが、よりによって旧車だけからむしりとらなくても!! とはいえ、よくも悪くも、この制度自体を変えるには政治の問題になる。
国会の税制審議会でよく審議してもらうしかないとのことだ。ちなみに国会には「自動車文化を考える議員連盟」もあり、旧車への重課について議論をしている。今後の動向にも注目。
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