2017年7月の国内月販台数トップはN-BOXの1万4121台、次がノートの1万2426台で、プリウスの1万1908台と続く。
売れている車は販売状況のレポートや紹介記事、試乗記などがメディア(当サイトを含めて)を賑わし、TVCMがしょっちゅう流れ、ディーラーのショールームに大きな垂れ幕が飾られ、店舗内の真ん中に置かれて、何より街中で走る姿をよく見かける。
しかし売れていない車だってデビュー当初は蝶よ花よと歓迎されていたし、売れてる車と同じくらいの手間ひまをかけて開発され、流通し、販売されている。
だからこそ当サイトは何度も売れない車の特集を実施しているし、今後もそうした車にスポットを当てていきたいわけです。
そんなわけで、今回は2017年7月の車名別月販台数で3桁以下の、あまり売れていない車から「これはいい車ですよ!」という5台を紹介したい。なお5台の月販台数を合わせても1位のN-BOXの10分の1に届きません。
文:ベストカーWeb編集部
■ホンダ ジェイド 2017年7月の月販台数74台
2013年9月から中国市場で販売が開始され、2015年2月から日本市場で発売。オデッセイとストリームの中間的ポジションを担う3列シート車であり、当初ハイブリッド専用車であったが、2015年5月に早くもガソリン仕様の「RS」を追加設定。
1.5L+モーターのハイブリッドと1.5L直噴ターボの2種類をラインアップする。「背の低い3列シート車」の市場が縮小していくなか、「それでも欲しいという人がいるはず」という心意気で販売を続けていると本企画担当は理解しており、そういうユーザーに向けてはいい車だと本気で思う。
確かに3列目シートは狭くてあまり使えないが、あくまで非常時の補助席だと考えれば、走行性能はそれなりにいいし、燃費もいいし、いや本当にいい車なんです。
上級グレードには先進安全技術パッケージ「ホンダセンシング」も標準装備。もうひと花咲かせてほしい車。
■スズキ バレーノ 2017年7月の月販台数68台
2015年3月のジュネーブショーに出展されたコンセプトモデル「iK-2」がベースで、同年9月のフランクフルトショーで市販モデルが世界初公開され、日本発売は2016年3月。
インドのマルチ・スズキで生産され、車名「バレーノ」はイタリア語(「閃光」という意味)という、なかなかにインターナショナルな車。
この車の来歴と現在の販売状況を見ると、当サイトもショーモデルを安易に「これカッコいいから市販してくれ」と言いづらくなる。いやまあいい車なんですけども。
デビュー時に鈴木修会長は「インドで一番売れるからインドで作る」と大変ごもっともな発言をしており、反論の余地はない。スイフトよりひと回り大きいサイズ感で、実際に見るとライバルであるフィットやノートよりもギュッと背が低く、スタイリングを重視していることがわかる。
エンジンは1.0Lの直噴ターボと1.2LのNAエンジン。浜松近辺でよく見かけます。
■スバル エクシーガ クロスオーバー7 2017年7月の月販台数499台
出す車、出す車、評判が高いスバルにおいて、唯一の3列シート車が苦戦中(月間販売台数で500台を割っているが、それでも当企画では最量販車なのが切ない)。
2013年の東京モーターショーに出展された「CEOSSOVER7 CONCEPT」がベースで、2015年4月より市販開始。2.5Lの水平対向4気筒エンジンを搭載する。
走行性能もスタイリングも「ちゃんとスバル車」であり、もちろんフルタイム4WD。この武骨な感じが3列シート車を望むユーザーにマッチしていない感じがするが、それでも需要はあるし、デビュー以来コツコツと特別仕様車を設定してなんとか「売ろう」としている努力が感じられる。
もちろん先進安全技術パッケージ「アイサイト」も装備していて、「家庭の事情で3列シート車がほしいし、スバル車らしさにも妥協したくない」というユーザーにはストライクな車。
■日産 シルフィ 2017年7月の月販台数216台
最近聞かないと思っていたけど、しっかりまだ頑張ってます。現行型の3代目(「ブルーバード」から数えると13代目!)は2012年5月のデビューで、細かい仕様変更はあるが大規模なマイチェンは実施しないまま気づけばもう6年目。
北米市場ではセントラ、オーストラリアではパルサーセダン、台湾ではスーパーセントラの車名で販売されており、世界120カ国で活躍中。
「ブルーバード」の冠名は取れてしまったとはいえ、ルーツは名門中の名門だけに、長生きしてほしい。エンジンは1.8Lの直4のみ。
本企画担当、かつてブルーバードオーナーだったこともあり思い入れが深いので、思い切ってe-POWERとか設定したら売れそうな気もするぞと期待を込めていっておきたい。
■三菱 パジェロ 2017年7月の月販台数76台
現行型(4代目)の登場は実に2006年10月。日本を代表するクロスカントリーモデルであり、現代に隆盛を迎えた都市型SUVのパイオニア的車種であるものの、いまや青息吐息。
細かい小変更とマイチェンを繰り返して進化を続けているが、現行型は3.2Lのクリーンディーゼルと3LのガソリンV6ターボの2種類のエンジンを搭載、7人乗りのロングボディと5人乗りのショートボディを持つところもパジェロの歴代モデルと共通。
170カ国以上で乗られており、最も信頼性の高い日本車のひとつとなっている地域も少なくない。そんなパジェロに久々に乗ってみたくなったら、ぜひディーラーで試乗してほしい。
相変わらず武骨でパワフルな走りです。パジェロエボ、すごい車だったなぁ……。もう一回出してもらえないだろうか……と、そんな話のタネになるだけでも新車市場に存在する意義がある車。
☆ ☆ ☆
こうやってピックアップしてみると、モーターショー出展時に「カッコいい! ぜひ市販を!」と思った車もあれば、かつて憧れた車もあった。
車好きにとっては、さまざまな車があって、好みに応じてどれでも選べる日本市場に生まれたことは感謝に値することだと思っております。
そういう意味でも、こうした個性がキラリと光る車たちには今後も頑張ってほしいなと思います! 売れない車に愛を!!
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