スカイライン、RAV4、シビックら「名車」が日本を見限った瞬間

■スバルレガシィ(日本を見限った瞬間:6代目/2014年発売)

6代目レガシィ(2014年)
6代目レガシィ(2014年)

レガシィの初代モデルは、1989年に発売された。この年には自動車税制が改訂され、日本車が続々と3ナンバー車になる切っ掛けとなったが、レガシィは5ナンバーサイズで発売された。この後も3代目までは3ナンバー化に惑わされず、2003年に発売された4代目で全幅が1700mmを超えた。

しかしクルマ造りの基本方針は変わらず、3ナンバー化がほとんど欠点と思えなかった。

2009年発売の5代目では、ホイールベースが2700mmを超えて、居住性が向上すると同時に以前の機敏な運転感覚が薄れた。

それでも全幅は抑えていたが、現行型になる2014年発売の6代目では、日本を見限る姿勢が本格化した。人気の高かったツーリングワゴンを切り捨て、アウトバックとセダンのB4は、全幅が1840mmまで拡幅されている。北米など海外向けの長距離移動が快適なクルマになった。

ただしスバルではレガシィツーリングワゴンの後継として、全幅が1800mmを下まわる日本向けミドルサイズワゴンのレヴォーグを加えた。WRX・S4も全幅が1795mmで、レガシィB4の後継という見方が成り立つ。国内に向けて、相応のケアはされている。

■日産マーチ(日本を見限った瞬間:4代目/2010年発売)

4代目マーチ(2010年)
4代目マーチ(2010年)

1992年に発売された2代目マーチは、世界で最高水準の取りまわし性を誇った。全長は3695mm、全幅も1585mmだから小回り性能が優れ、ボンネットも良く見える。サイドウインドーの下端を低く抑えた水平基調のボディは、視界が抜群に良い。安全の第一歩は車両の周囲に潜む危険の早期発見だから、2代目マーチは衝突性能とは違う意味で優れた安全ボディを備えていた。

しかも外観が柔和で上質感も伴う。この安全性、取りまわし性、見栄えの両立は、工業デザインの真髄であった。これに比べると昨今の後方がロクに見えない外観は、第一に危険であり、デザインの力量も大幅に劣る。今の開発者やデザイナーには「2代目マーチを改めて見直せ!」と言いたい。

この優れたマーチが、フルモデルチェンジの度に衰えていった。2002年に発売された3代目は、デザインは2代目の流れを受けて相応に良かったが「Bプラットフォーム」にはコストダウンの悪影響が感じられた。

乗り心地は柔軟でも、後輪の接地性が劣悪で走行安定性に不満が伴う。同じプラットフォームを使う2代目キューブが発売されると、その処方に沿って大幅なランニングチェンジ(報道発表をせずに改良をすること)を実施したが、後輪の接地性を高めた代わりに乗り心地に突っ張り感が生じた。デザインや取りまわし性は悪くなかったが、運転するとその後のマーチが危ぶまれた。

悪い予感が的中したのは、2010年に発売された4代目の現行型だ。「タイ生産になった」という言い訳はともかく、単純にデザインから乗り心地まで質が低い。しかも2/3代目に比べると視界も少し悪化した。緊急自動ブレーキを作動できる安全装備も付かず、日本を見限ったというよりも、選ぶ価値を根本的に失っている。

■ホンダアコード(日本を見限った瞬間:5代目/1993年発売)

5代目アコード(1993年)
5代目アコード(1993年)

シビックの上級に位置する基幹車種で、1980年代の初頭には、他メーカーに先駆けて北米生産を開始した。それでも日本仕様は国内向けに開発され、1985年に発売された3代目は、当時のミドルサイズセダンでは上質だった。1988年には北米生産のアコードUSクーペを輸入するが、全幅は1695mmで左ハンドルの5ナンバー車だった。

1989年発売の4代目も基本路線を踏襲したが、1991年に発売された北米製アコードUSワゴンは、全幅が1725mmの3ナンバーボディに2.2Lエンジンを積んだ。この頃から雲行が怪しくなり、1993年発売の5代目は、すべて3ナンバー車になった。

5代目は丸みのある外観で四隅の位置が分かりにくく、正直な開発者は「車庫入れすると、真っ直ぐに駐車できないんですよ」と言った。ユーザーは当然に「日本の私たちを見限ったクルマ」と考えて、売れ行きも伸び悩んだ。

そこで1997年に発売された6代目のセダンは、再び5ナンバーサイズに戻したが(ワゴンは3ナンバーサイズ)、もはや遅きに失した状態だ。ホンダの売れ筋は、1994年発売のオデッセイや1996年のステップワゴンになっていた。2002年発売の7代目では再び3ナンバー車に戻り、今でも日本を見限った状態が続いている。

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