トヨタ異例の2023年の生産基準台数を公表!! 年間1060万台(下振れリスク1割含む)で「一番悪い時よりはよくなってきたが…」とは??

トヨタ異例の2023年の生産基準台数を公表!! 年間1060万台(下振れリスク1割含む)で「一番悪い時よりはよくなってきたが…」とは??

 2023年1月16日、トヨタ自動車は2023年1~12月の「生産基準台数」を公開した。「1060万台を上限として1割程度の下振れリスク(編集部注/954万台?)を設定した」と、例年にない数字を公表した。半導体不足や部品流通の不安定化が続くなか、長納期化で苦しむサプライヤーやユーザーへ「出来ることはすべてやる」という対応の一環といえる。

文/ベストカーWeb編集部、写真/TOYOTA(アイキャッチ画像はトヨタ高岡工場でのハリアー生産の様子(2020年6月時点))

■「国内の納期を半年かけて1~2カ月短縮してゆく見込み」

 トヨタからの公式リリースによると、以下のとおり。

「この度、2023年生産台数に関して、現時点では1,060万台を上限とした生産台数を目線に取り組んでまいりますが、昨年同様、半導体等の部品供給不足の影響が不透明であることから、1割程度下方リスクの変動幅を持たせた生産の基準値を設定いたしました。これは、仕入先をはじめとするステークホルダーの皆さまに、人員体制や設備能力対応の目安の基準として、生産対応についてコミュニケーションさせていただくためのものです。昨年と同等の半導体等の部品供給の影響を受ける場合、上限の生産台数に対して変動リスクとなるため、幅を持たせた基準で共有しております。関係仕入先の皆さまと前広に緊密に連携しながら、変動による影響を少しでも低減し、生産活動に取り組んでいく所存です。」

 また、トヨタ自動車熊倉和生調達本部長がオンラインで語ったところによると、

「半導体不足は依然、先行きが見通せない状況が続いています。多くの種類がある中で、ある部品は充足してきているが、一方である部品は足りていない。そういう状況のなかで一年を通した生産台数を出すのは難しく、実際には1カ月ごとに半導体メーカーの皆さんやサプライヤーの皆さんと話し合い、調整しながらやっていくことになります。部品供給はいろいろと対策したこともあって、一番悪い時期(2022年の夏から秋頃)よりはだいぶマシになってきていますが、ただ、昨年は(下半期になって計画台数を見直すことになって)サプライヤーさんに多大なご迷惑をおかけしました。そのことを反省して、年初に基準値と【幅】をお示しすることになりました」

 とのこと(1060万台は「トヨタ+レクサス」の合計台数)。なお「1割程度下方リスクの変動幅」は、今年と同程度の半導体供給を見込んでの数値で、(大規模災害や戦争、感染症拡大を含む)さらなる不安定化要因が発生した場合は、ここからさらに下方修正することもありうるそう。

 今回の数字はあくまで(サプライヤーやユーザーに示す)「基準値」であり「幅」であって、この数字に合わせることが目的ではない、と繰り返し語られた。

 トヨタがこうした「生産基準台数」を公に発表することや、「幅」を提示するのは異例中の異例。なにしろもともとの台数が「1060万台」とすさまじい数のため(仮に上限まで作れると過去最高)、「1割程度の下方リスク」でもサプライヤーへの影響は大きい。そうした事情を鑑みつつ、それでも昨今の部品流通不安定化の先行きの見通しは難しく、そのなかで「やれることをやる」ということなのだろう。

「ざっくりとした幅としての台数」くらいないと経営計画が立てられない会社、めちゃくちゃたくさんあるだろうしなあ…。

 なお、今回は部品調達と生産現場、サプライヤーとの関係の話が中心だったが、日本国内市場の長納期化と解消のメドに関する質問も飛び、

「世界的にも納期は長くなっているが、必要な半導体のスペックの違いなどもあり調整中。そのなかでも国内の配分を厚くしてゆくなどの対策を打って、半年くらいかけて段階的に、いま半年かかっている納期を1~2か月短縮する(つまり初夏くらいまでに現時点で納期6カ月程度の車種の納期を4~5カ月にする)。まずもって国内を優先して納期を短くしていきます」(トヨタ長田准執行役員談)

 とのことだった。

 これは朗報。まだまだ厳しい状況は続くが、「一番悪い時期よりはマシ」という発言を信じて、粘り強く流通の短縮化を待ちたい。

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