【日本のEV戦争 開戦前夜】ホンダe マツダMX-30はリーフに勝てるか?

堅いビジネスを展開するリーフ

2017年12月に登場したリーフの航続距離はWLTCモードで322km、リーフe+は458km
2017年12月に登場したリーフの航続距離はWLTCモードで322km、リーフe+は458km

 さて、2010年に発表された日本車初の量産EVの先達たるリーフは2017年12月に2代目となり、2019年1月にはバッテリーの容量増加によるパワー向上と一充電航続距離を増強したe+の導入が目新しい。

 標準仕様の「リーフ」は航続距離322km(WLTCモード)、「リーフe+」はさらに約40%長い航続距離(458km(WLTCモード))を実現た。

 「e+」に搭載されるバッテリーは、パッケージングの見直しなどにより、エネルギー密度を約25%向上。室内空間やデザインを犠牲にすることなく、容量を55%向上させた。

 そして2019年12月16日、2年ぶりにマイナーチェンジされる。発売は1月中旬。内容的にはメカニズム面の変更はないが、内外装のデザイン変更、ボディカラーの新設定、安全対策強化、装備の充実などが主な内容。装備としては、現行モデルでナビが小さく不評なことから、新しい大型の10インチサイズを設定する。

 日産はどうやら欧州のEV市場に向けて、ルノーと共同開発されたコンパクトクラス用CM-Bプラットフォームをベースに、新世代のEVの開発を進めているようだ。

 先の東京モーターショーでは、前後モーターによる4WD仕様として、欧州の量産EVに追従するかのようなクロスオーバーSUVの「アリアコンセプト」を発表。欧州での新たなEV投入を睨んでいる。

 発表されたアリアコンセプトは全長4600×全幅1920×全高1630mmのクーペスタイルのクロスオーバーSUV。EV専用プラットフォームを持ち、前後にそれぞれ1つずつのモーターを持つツインモーター4WDだ。

「自動運転時代に日産が進む方向を示したモデル」だといい、ツインモーターによるパワフルな動力性能と先進運転支援機能を搭載
「自動運転時代に日産が進む方向を示したモデル」だといい、ツインモーターによるパワフルな動力性能と先進運転支援機能を搭載

リーフと真っ向勝負する日本製EVは出てくるか?

ホンダeの開発責任者・人見康平さんはBCのいじわるな「スペック的にリーフに劣っていますがリーフとは違うホンダeの個性、魅力はなんでしょうか?」という質問に対して「乗って走ってもらえば必ずわかります。“スポーツカー”ですから」とコメント
ホンダeの開発責任者・人見康平さんはBCのいじわるな「スペック的にリーフに劣っていますがリーフとは違うホンダeの個性、魅力はなんでしょうか?」という質問に対して「乗って走ってもらえば必ずわかります。“スポーツカー”ですから」とコメント

 では、現段階で老舗EVであるリーフに、日本メーカーの発売予定のモデルはどの程度対抗しうるのか、消去法的に探ってみよう。

 トヨタC-HR、レクサスUXeの両モデルは、パワートレーンに関してはハイブリッドモデルでの実績はあっても、いかんせん“急場しのぎ”の観が否めない。

 MX-30についてはデザインを含めて仕立ては良さそうだが、モーターの仕様や制御がどのようになるか(ワンペダル操作には“人馬一体”を謳うマツダは否定的だ)によって、評価は変わってくるので“待ち状態”だ。一充電あたりの航続距離がWLTCモードで約200kmというのも気になるところだ。

 残るホンダeはシティコミューターとして開発されたため、スポーティーなホンダのイメージを裏切らないことが期待できるとはいえ、ミドルクラスのリーフと同じ土俵では評価しにくい。

 ホンダeの航続距離もWLTCモードで200kmしかない。東京から箱根往復は厳しい。乗車定員も4人乗りだ。駆動用バッテリーは35.5kWhで100kW(136ps)と113kW(154ps)の最高出力と、315Nm(32.1kgm)の最大トルクを発生する。

 ちなみに日産リーフは、駆動用バッテリーが40kWh仕様の場合、最高出力が110kW(150ps)、最大トルクが320Nm(34.7kgm)と、ハイパワー版のホンダeと最高出力より4ps低く、最大トルクはリーフのほうが5Nm上だ。

 一方、リーフの高性能版、e+は62kWhの駆動用バッテリーを搭載し、最高出力は160kW(218ps)、最大トルクは340Nm(34.7kgm)。

 リーフの航続距離はWLTCモードで、40kWh仕様が322km、62kWh仕様が400kmと、ホンダeのWLTCモードの航続距離200kmを圧倒する。

 C-HR EVとレクサスUXeは、前輪を駆動するモーターのパワーとトルクは150kW(203ps)と300Nm(30.6kgm)で、リチウムイオンバッテリー容量は54.3kWh、一充電航続距離は約400km(NEDC複合)。

 数値からすれば充分ともいえるが、UXシリーズの車両本体価格は397万2222~544万9074円ということを考えると、UX300eは550万~650万円あたりになりそうなので、リーフに比べるとかなりの高い。

 こうして見ると、リーフがマーケットのカテゴリーの位置づけなどからも、日産が他メーカーに先駆けてEVが売りやすい領域を突いていたことが改めてわかってくる。

 2020年~2021年にかけて3台のEVが発売され、日本車メーカーのEV戦争が始まるが、現状では価格面、航続距離も含め、日本車に関してはリーフのライバルはまだ存在しないといえる(テスラモデル3がその筆頭といえるだろう)。

【画像ギャラリー】日本のEVは百花繚乱!? ホンダe、マツダMX-30、C-HR EV、レクサスUXeの詳細写真

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