クルマのよさはエンジンだけじゃ決まらない。だけど、やっぱ楽しいエンジンが載っているクルマは乗ってて楽しい。差がわかりやすく出るのがエンジンだと思う。
日本はクルマの電動化が最も進んでいる国だ。そこで、今回はエンジンではなく、ハイブリッドやフルEVも含めた「パワーユニット」というくくりで、ぜひ一度味わってもらいたい、楽しいパワーユニット5基を、自動車評論家の斎藤聡氏、岡本幸一郎氏に選出してもらった。
現行国産車を選考の対象としているので、気になるパワーユニットを見つけたら、ぜひディーラーで試乗して味わってほしい。
なお今回、スバル EJ20、トヨタ/レクサス 2UR-GSE、日産 VR38DETTの3基については「殿堂入り」としてランキングから除外した。詳細は画像ギャラリーで確認いただきたい。
やはり大排気量、ハイパワーなエンジンが有利なのか。いやいや、楽しいハイブリッドだってたくさんある。気になる結果をぜひチェック!!!
●【画像ギャラリー】スバル EJ20から最新スープラ搭載のB58まで!乗って楽しいエンジンたちをギャラリーでチェック!!!
※本稿は2020年2月のものです
文:斎藤聡、岡本幸一郎、片岡英明/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年3月26日号
■日産 VR30DDTTV型 6気筒2977ccツインターボ(スカイライン400Rなどに搭載)
●低回転から最大トルクを発揮、高回転まで気持ちよく回る!(斎藤 聡、岡本幸一郎おすすめ1位)
■斎藤 聡の選出理由
日産の主力エンジンであったVQ型エンジンに代わって開発された新世代の3Lツインターボエンジン。
新世代というだけあって、今後の日産をけん引するパワーユニットとしてさまざまな技術が込められている。何より「欧州でプレミアムセグメントのハイパフォーマンスカーに引けを取らない性能を発揮させるために作られた」という逸話がそそられる。
実際、VR30DDTT直噴ツインターボエンジンは、シリンダーにミラーボアコーティングを、バルブリフターに水素フリーDLC(ダイアモンド・ライク・コーティング)を施しフリクションの低減を行っている。
その一方ツインターボの過給圧コントロールを電子制御のウエストゲートバルブで制御。過給圧の緻密なコントロールを行っている。GT-Rのエンジンとは別物とはいえ、日産の次世代エンジンとしての意欲に満ち溢れたエンジンだと思う。実際のエンジンのフィーリングも高過給圧、ハイレスポンスを実感できる刺激的なエンジンだ。
■岡本幸一郎の選出理由
「400R」というネーミングからして大いに期待させるものがあるが、ドライブしてもとても印象的だ。ターボなのに低回転からレスポンスがよいことにも感心したが、ベースの排気量が大きいおかげで加速感がとても自然で素直。
そしてひとたび踏み込むとトップエンドまで勢いを衰えさせることなく痛快に吹け上がる。その男気あふれる加速フィールは、ひさびさに「走りの日産」を大いに感じさせるものだ。
加えてアクティブノイズコントロールも効いて、雑味のない澄んだV6サウンドを味わわせてくれる上質さも併せ持っている。殿堂入りした機種を除いて、今の日本車で最も異彩を放つ印象的なパワーユニットに違いない。
●斎藤 聡が解説するスカイライン400R>の魅力
405psを発揮する400Rと305psのGTとでは迫力は段違い。だから魅力はぶっちぎりで400R。一直線に伸びあがっていく痛快な加速と、4000回転から上のタレないターボフィールは独特。これまでにあまり味わったことのない感覚があり超刺激的でワクワクする。
ではGTに魅力がないかといえば、これがなかなかの出来。高回転型エンジンに味つけされているので、エンジンをぶん回して走る楽しさがある。素早いレスポンスが得られるのはGTのほうだ。
●スペック…型式:VR30DDTT、排気量:2997cc、種類:V型6気筒DOHC+ツインターボ、ボア×ストローク:86.0mm×86.0mm、燃料:ハイオク、圧縮比:10.3、最高出力:405ps/6400rpm、最大トルク:48.4kgm/1600-5200rpm、燃費:10km/L(WLTC)※スペックはスカイライン400Rのもの
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