先駆車:ホンダストリーム(2000年)
■後出し車:トヨタウィッシュ(2003年)
ストリームは、2000年、5ナンバーサイズの都会派ミニバンとして登場し、大ヒットする。5ナンバーサイズに収めているが、背を低くした低重心設計で、ワゴンと互角の気持ちいいハンドリングを実現している。
するとその3年後、トヨタはまったく同じコンセプト&サイズのウィッシュをぶつけてきた。
軽自動車業界では当たり前の後出しジャンケンだが、登録車の世界でここまで露骨な後出しはあまり例がなかった。
自動車メディアからは「いくらなんでも」という声も出たが、訴訟になることもなく、以後宿命のライバルとして火花を散らすことになった。
2003年9月、ストリームのマイナーチェンジ時のCFキャッチコピー「ポリシーは、あるか?」はもちろん、トヨタ(ウィッシュ)に向けたものだ。
ストリームはホンダらしく走りがウリで、対するウィッシュはトヨタの販売力がウリ。結局トヨタの販売力が上回り、販売台数ではウィッシュの優勢勝ちとなった。
この2台の戦いは2代目にも引き継がれたが、その頃になると全高の低い都会派ミニバンは箱型ミニバンに押され、ともに販売が急降下。ストリームは2014年に、ウィッシュは2017年に、ともにほとんど忘れ去られた状態で生産終了となった。
つまり共倒れしたわけだが、いつも最終勝利者は「時代」。ストリームもウィッシュも時代に敗れ去ったのだ。
★結果:後出しウィッシュの優勢勝ち
先駆車:スズキソリオ(2015年)
■後出し車:トヨタタンク/トヨタルーミー/ダイハツトール/スバルジャスティ(2016年)
ソリオの前身は、ワゴンRの全長と全幅を拡大して1Lエンジンを載せたワゴンRワイドだが、ワゴンR+、ワゴンRソリオを経て、2005年にソリオに改称。
2010年の2代目からは、シャーシもワゴンRから独立したコンパクトハイトワゴンとなり、2015年に現在の3代目にバトンタッチ。この市場を独占してきた。
ソリオの特徴は、全幅が1625mmと、登録車としては最も狭いこと。ワゴンRワイド時代からのユーザーのために、狭い車庫にも入れる幅を維持しつつ、広い室内を実現している。
1.2LのNAエンジン+マイルドハイブリッドのパワーユニットは、トルクがあって実用的。フォルムのわりに重心が低く、走りの安定感も高い。
この市場を狙って登場したのが、ダイハツが開発しトヨタとスバルにもOEM供給されるルーミー/タンク/トール/ジャスティの4兄弟だ(2016年発売)。
ソリオに比べると基本設計は特徴に乏しく、1LエンジンはNAだとトルクが足りず、回すと騒がしい。
が、トヨタの販売力はさすがにスズキとはケタ違いで、ルーミー/タンク(トヨタ系で販売)だけで年間15万台以上を売る大ヒットになった。
4兄弟合計すれば年間約20万台。この数字は登録車販売ナンバー1に相当する。対するソリオは年間4万台強で、販売台数だけ見ればトール4兄弟の完勝だ。
しかし、トール4兄弟の登場後も、2016年4万8814台、2017年4万9893台、2018年4万4884台、2019年4万4488台と、ソリオの販売はほとんど落ちていない。
つまり、巨大なライバルの登場にビクともしていないと言えるわけで、あっぱれソリオである。
どれだけ売れたかという視点で見れば後出し4兄弟車の方が勝ちということになるが、中身では断然ソリオの勝ちとしたい。
★結果:先駆車ソリオの勝ち
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