過ぎたるはおよばざるがごとし? こだわりが強すぎて消えていった”しくじり車”たち


どこまでも斬新、どこまでも異端

■ホンダZ 1998(平成10)年~2006(平成18)年1月

UM-4という独自のメカニズムを搭載して登場したZは衝突安全面でも有利だった。しかし使い勝手を考えると3ドアしかなかったのが致命的だった

 この2代目となる(といっても、個人的には今でさえピンとこない)「Z」こそ、ホンダの商品戦略の“大胆不敵さ”が凝縮したモデルに違いない。

 まず「コンセプトありき」で生み出され、そもそも量産されることに無理がある(?)ような「こだわりに富んだ」というよりは「自由すぎる」成り立ちは、どこか天晴れと言いたくなるような独自性の塊だった。

 ホンダの過去のモデルの名を復活させるパターンを数あるが、Zもそのひとつ。1998(平成8)年の軽自動車の規格変更に伴い、同時に登場したライフ(これも2代目)とともに登場した新型Zは、初代とはまったく異なるコンセプトを打ち出した。

 エンジン縦置きのフロア下ミドシップ(これに近いコンセプトの乗用量産モデルは、初代トヨタエスティマぐらいだ)レイアウトの採用は、良くも悪くも“ホンダらしさ”に溢れていた。

技術への「こだわり」が生み出した個性

メカニズムをフロア下に集積した結果、軽自動車ながら小型車に匹敵する室内長を確保。当時ユーティリティ面でZにかなう軽自動車は存在せず

 2代目ホンダZは「UM-4:Underfloor Midship 4WD」と呼ばれた独自のプラットフォームを基本に、50:50の車重配分を実現。全車ビスカス式センターデフで適宜後輪を駆動する“スタンバイ”4WDを採用。

 そのほかにも、アイポイントの高さやフラットに仕立てられたフロアなど、パッケージングを見れば、Zが単純な箱形モデルではないことは明らかだ。

 衝突安全実験車から生み出されたという経緯があるZは、当時のホンダ社内で設定したフルラップ55km/h、64km/hでの40%オフセット(変形バリア)の衝突試験をクリア。

 さらに歩行者頭部障害軽減保護機能として、FFであればエンジンが設置されるフロントコンパートメントに衝撃吸収構造を与えた効果だ。

 だが、これだけ細部にこだわりが溢れていても、全体のコンセプトすなわち「このクルマで何を実現したいのか」がわかりにくくなってしまっては「エンジニアのわがままの集大成」と捉えられても致し方なかろう。

 約8年の販売期間で4万台ほどの総販売台数(発表当初の月間目標販売台数は5000台)を見れば、面白さだけでは大ヒットには至らなかったということになる。

 軽自動車という“真面目な”カテゴリーゆえの結果といえるかもしれないが、「やりすぎた」モデルとしては納得すべき数字だろう。

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