過ぎたるはおよばざるがごとし? こだわりが強すぎて消えていった”しくじり車”たち


革新的なスタイルは今見ても素晴らしいがなぜかウケず

■三菱i(アイ):2006(平成18)年~2015(平成27)年3月

エンジンのないフロントの空間はクラッシャブルゾーンとしても効率的に利用され安全性を高めるのに一役買っている

 箱型のハイトワゴン、さらに背の高いスーパーハイトワゴン全盛の最近の軽自動車のなかにあって、i(アイ)を見ると、これほどスタイリングにこだわった軽自動車は稀なはず。

 斬新な“ワンモーションフォルム”など、独自のコンセプトを備えながら、買収されたダイムラークライスラー(当時)との関わりのなかで生まれ、消えていった不運な一台といえる。

 iは三菱の独自設計とされるプラットフォームを基本に、エンジンを45度傾斜させてリアアクスルの前方に載せる「リア・ミッドシップレイアウト」を採用した(燃料タンクは床中央に配置)。

 iの開発に当時提携関係にあったダイムラー(当時のダイムラークライスラー)がどの程度関与したかは明らかにされてはいない。

 あくまで参考ながら、筆者が確認した初期モデルでは、エンジン周りの部品やガラスウインドウなどのパーツ類には当時のダイムラークライスラーの名が見られ、前後のタイヤサイズは145/65R15、175/55R15と当時のスマートと共通なのは偶然ではあるまい。

 パッケージングでは、全長3395×全幅1475×全高1600mmのボディサイズにホイールベースは軽自動車として現在でも最長とされる2550mmを設定して、リアエンジンレイアウトとして室内空間に余裕を持たせた。

 マクファーソンストラット/3リンク式ドディオンアクスルのサスペンションとともに、独自のセッティングを施した電動パワーステアリングのフィーリングは独特で、ブレーキング時にノーズダイブすることなく水平の姿勢を保ったまま減速する振る舞いはリアエンジン車ならではといえた。

発表時には軽自動車用3B20型直3ターボ(64ps/9.6kgm)を設定。発表から間もない2006年10月には自然吸気エンジン仕様(52ps/5.8kgm)を追加。それぞれ4速ATを組み合わせている

こだわりすぎたデザイン?

エンジンを後方に置くことで軽自動車屈指の長いホイールベース(前輪軸と後輪軸との距離)を実現。これがゆったりとしたスペース、そして大きな口径のタイヤとともに走りの安定性をも生み出した

 デザインへのこだわりがわかるのは、全高を多くのタワーパーキングに見られる1550mmの車高制限値にギリギリ収まらない1600mmに設定したことだ。

 チーフデザイナーによれば10mm減らすことは考えなかったというから、独特なスタイリングの実現にどこまでもこだわったのだろう。

 一方で、軽自動車としての資質に優れていたとしても、強すぎる個性、特にスタイリングは時としてマーケットに拒否反応を示されてしまう。

 ただし、三菱iは生産が終了してしまったが、ほぼ同じスタイルの電気自動車のi-MiEVがまだ販売されているのを忘れちゃいけない。i-MiEVの新車を欲しい方は急いだほうがいいかもしれない。

三菱iの中古車情報はこちら!

次ページは : トヨタだから挑戦できた大衆車のガルウイング

最新号

ベストカー最新号

このSCOOPは見逃せない! 次期型クラウンの姿、判明! ベストカー10月10日号(9/10発売)

 熱狂と感動の東京オリンピック/パラリンピックは閉幕しましたが、自動車業界は今もこれからも熱いです!…

カタログ